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いわゆる五十肩の病態把握手順2017年版

1.いわゆる五十肩の基本的な病態

いわゆる五十肩は、最初は色々な診断名がつけられるが、それが自然治癒しない場合、最終的には凍結肩という単一病態へと収束されていく。細かなことは置いておき、ダイナミックな全体の流れを把握することが大切だろう。

腱板の炎炎症

炎症が肩峰下滑液包に拡大

滑液包内の水分減少し粘性増大して癒着性滑液に

炎症が肩甲上腕関節全体に拡大し癒着性関節包炎(=凍結肩)に

6ヶ月~2年の経過で自然治治癒。

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上記の流れの中で、最も痛みが激しい時期は肩峰下滑液包炎の頃で、この時くらいまでを五十肩疼痛期(=Freezing  phase)とよぶ。五十肩疼痛期は疼痛中心で肩関節拘縮は目立たない。術者が介助すれば上腕の運動制限はあまりない。
   
炎症自体が落ち着くとともに、滑膜の癒着が始まる頃から、五十肩拘縮期(Frozen phase)に移行する。五十肩拘縮期は要するに凍結肩の時期であって、痛みは減少するが、術者が介助しても 肩関節の可動域は制限される。

 

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 2.五十肩(疼痛期) Freezing  phase の病態生理

1)棘上筋の退行変性
 
肩関節の外転運動は、骨頭を上方に引っぱる三角筋と、体幹側に引きつける棘上筋が協調して円滑に実施できる。三角筋も棘上筋も老化するが、棘上筋の老化スピードが速い。棘上筋の老化が先行した場合、肩関節を外転させようとすると、上腕骨を体幹に引きつける力不足で、上腕骨頭を中心とした軸とした回転運動が起こらず、上腕骨頭は上方に辷る。

この状態で上腕を外転させよとすると、上腕骨大結節は烏口肩峰アーチの下をくぐることができない。上腕外転90度前後までしか可動できなくなる。
無理をして上腕を動かそうとするので、肩関節の外転・外旋筋である棘上筋・棘下筋の運   動支配神経である肩甲上神経が過敏になる。 


2)腱板炎が炎症拡大して滑液包炎に
    
肩腱板に生じた炎症は、すぐ上方に接する肩峰下滑液包に波及し、摩擦を減らすために滑液量滑量が増加したり、滑膜が肥厚してくる。この状態を肩峰下滑液包炎とよぶ。滑液包の   体積が増すので、肩峰下との摩擦はさらに増加して痛みも増加する。この結果、三角筋中部線維の付着部に限局した圧痛(滑液包~肩肩板部局所)が生ずる。さらに滑液包に線維化がみられるようになる。関節とつながる筋(とくに肩甲下筋)にも索状の線維化がみられる。
      
肩関節に炎症が生ずると、肩関節部以外に、肩甲骨上や肩甲骨内縁、後頸部にも痛みが出てくる。液包炎の炎症の程度が酷ければ、自発痛が出現し、とくに夜間痛で眠れないほどになる。とくに夜間に痛み増大するのは、夜は一般的に血行量少なくなり、気温も下がることによる。 患肩を下にして寝ると痛み増大するのが普通。
    
※棘上筋のインピンジメント症候群でも肩峰下滑液包炎を生ずる。

  

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3.慢性期(拘縮期) Frozen phase  の病態生理   
  

)滑液包の水分が渇いて粘性増加し癒着
    
炎症が自然消退する過程で、元来はゼリー状だった滑液は、水分が失われて粘性が増して腱や骨に癒着するので上腕の運動制限が起こる。炎症が消退すると運動時痛は消失する   が運動制限は持続する。これを癒着性滑液包炎とよぶ。癒着性滑液包炎を放置すると三角筋と肩腱板の動きが不安定になり、運動神経とその支配筋も癒着が拡大すこともある。
  

2)癒着性滑液包炎の癒着範囲拡大により凍結肩へ
       
癒着性滑液包炎の癒着範囲拡大により癒着性関節包炎(=凍結肩)になる。凍結肩になると、自動・他動とも運動制限は生ずるが、疼痛は軽くなる。この状態になっても6ヶ月~2   年後には、回復期Recovery phaseとなり、徐々に可動域が拡大してくる。凍結した肩関節が自然治癒するかの理由は分かっていない。関節の癒着は自然消失した訳ではない。

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4.五十肩との診断根拠    

                                
1)50才前後である。
若い頃は若い枝木と同じで火は付きにくい。老木だと火は付きやすいが燃えるのも速く火は大きくなりにくい。ある程度古く干からびていて、中身がまだしっかりあるという50才頃が最も火は拡大しやすい。火とは炎症のことである。
  
2)肩関節のROMの制限(自動、他動とも)。とくに外転、外旋運動が制限を受ける。
   
①結帯動作:肩関節の伸展+内転+内旋の複合動作。帯を結ぶ時のように手を腰に回し、できるたけ上方に移動させる。母指とC7棘突起間の距離を測る。
②結髪動作:肩関節の屈曲+外転+外旋の複合動作。髪を後で結ぶように、手を後頭部に回す動作ができるか否かをみる。中指と同側の肩甲骨下角の距離を測る。
  
3)上腕骨引き下げテスト(-)
    
上腕骨を強力に下方に引き下げ、肩峰と上腕骨頭との間に生ずる間隙を触知するテスト。間隙の拡大を触知できるものを陽性ないし正常、できないものは陰性とする。
このテストが陰性のものは狭義の五十肩(=凍結肩で病期には無関係)であり、陽性のものは五十肩以外もしくは正常である。
   
※狭義の五十肩であっても若干は拡大を触知できる。まった く動きを触知できない場合には、関節癒合(結核など)を考える。
  

 

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 4)肩甲上腕リズムの異常 (長くなるので詳細省略)   

 

5.肩関節痛の鑑別診断(似田)

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