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へバーデン結節の針灸治療 Ver.2.1

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筆者は2012年8月12日にブログ「へバーデン結節の針灸治療」を公開したが、内容を刷新すべく2014年7月21日に  「へバーデン結節の針灸治療 Ver2.0」として改訂することにした。それも不十分だったので、今回2019年7月16日さらに「へバーデン結節の針灸治療 Ver2.1」として図を中心に改訂した。。

 

1.ヘバーデン結節の基礎知識の病態  

手指のDIP関節にみる変形性関節症。DIP関節基底部背側中央の伸筋腱付着部を挟んで、2つのコブ(結節性隆起)ができる。骨肥大による変形であり、これをヘバーデン結節と呼ぶ。単発または多発的に出現。閉経との関係が指摘されている。40才以上の女性に多い。語呂:「女は40でへばる(ヘバーデン)」

※ブシャール結節 Bouchard node:手指のPIP関節にみる変形性関節症。 
へバーデン結節ではつまみ動作で多用する示指・中指に多いのに対し、ブシャール結節は握り動作で多用する尺側の指に多くなる。  

※関節リウマチは、PIP関節を侵すことはあっても、DIP関節は侵さない。

 

 

 

2.へバーデン結節の症状と経過

1)初期には一時的にDIP関節が左右対称性に赤く腫脹し、自発痛を伴うことがある。DIP 関節の変形進行(関節の狭小化と軟骨の変性)。やや屈曲する。

2)基本的には運動時痛。骨棘形成によりDIP関節が竹のフシのように太くなる。関節の可動 域制限により、手が十分握れない、手がこわばるなどと訴える。 

3)一定時間(3ヶ月~)経過し、ある程度変形が進んで関節の動きが悪くなると、痛みがなくなる者が多い。著しい機能障害を来すことは少ない。


 

 

3.一般治療
冷えると痛む場合、温水で指を温める。痛みが強いときは、紙テープ(幅20㎜前後)をDIP関節周囲にぐるぐる巻きにして関節の動きを抑えるなどの一般的治療がある。針灸治療は次のようである。


4.針灸治療

鍉針などで関節部圧痛点を見つけ、3~5のゴマ大灸をすることが多い。圧痛点の所在により何が痛みを引き起こしているのか推定できる。

1)DIP関節基部背面の左右に、へバーデン結節が出現するが、その中点に指伸筋腱が走行している。指伸筋腱の末節骨に停止している部の圧痛点に治療点を求める。    




2)上記部以外のDIP関節部の圧痛は、関節包の痛みを考える。関節包は腱筋につながって関節と連動して牽引収縮されるので運動時痛を生ずる。

3)上記圧痛点へは細針にて浅刺置針または糸状球数壮を行う。その際手掌を上にし、DIPとPIPとも屈曲させた状態で行うと、指伸筋腱が緊張するので、効果増大が期待できる。一般に施術直後は減痛できるが、持続効果は一両日なので、自宅施灸を毎日行わせるのがよい。


5.いゆわゆる突き指について

1)概念
へバーデン結節と同じくDIP関節部の痛みだが、病態は異なる。「突き指」とは野球・バレーボール・バスケットボールなどの球技で、ボールを受けそこなった時や転倒して指を突いた時に発生する指周囲の外傷の総称。診断としては、捻挫、槌指(=マレットフィンガー)、側副靱帯損傷などになる。

2)槌指(ついし)の分類
槌指とは腱断裂のことで、DIP関節が屈曲したままで自力では伸展不能の状態である。槌指は慢性になると痛みはなくなるが、DIP関節が屈曲した状態のままである。

 

 

3)突き指の鑑別と針灸治療

応急処置は、捻挫と同様にRICE(安静・冷却・圧迫・高挙)の処置。外観上の異常があれば整形外科に急送。側副靱帯捻挫や指針腱停止部症の場合、指側面の局所に単刺で速効できることが多い。突き指では「指を引っぱるとよい」というのは間違い。


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