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Channel: AN現代針灸治療
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咽頭痛に対する局所刺針と合谷皮膚刺激

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1.咽頭痛に対する局所刺針

下咽頭知覚(舌骨~喉)は上喉頭神経内枝興奮の結果なので、この部に対する刺針をすると効果がある。筆者の日常的治療は、咽痛の対象治療点は上喉頭神経内枝が甲状舌膜から出る部を治療点と定め、寸6#2程度の針で2㎝前後直刺し、咽に響かせる。

 

 2.柳谷素霊の咽痛に対する合谷刺針技法

咽痛に対する遠隔治療としては、柳谷素霊の「秘法一本鍼伝書」には、合谷浅刺多数刺が知られている。※一本鍼伝書では、「喉の鍼」として紹介されているが、喉頭症状とは咳嗽や嗄声であって、痛みとは異なる。ゆえに「咽の鍼」とするのが正解だろう。 

1)取穴:直径1寸3分位の丸竹を患側に握らせた状態で、第1中手骨と第2中骨の底間の硬結下際部に合谷をとる。

2)体位:正座させ、両手を膝上大腿部に置き、腹部に力を入れされ、健側の手も強く握らせ、かつ全身に力を入れるように指示する。

3)刺針:寸3#2を使用。針先をやや上方硬結様横絡の下縁に入れるように傾斜させて刺入。刺針深度は1分くらい、深くとも1~2分以内。細刺術、すなわち反復的に皮膚に刺針、そして直ちに入れ直す。皮膚が発赤するまで行う。

4)針響:針先が皮膚に触れて直ちに針響が上腕の方に感通することがあれば、それ以上深く刺さない。そうならない場合、徐々に刺すか、抜いてやり直す。針響が前腕に響くか、またはさらに上腕に上り、咽喉に達すれば成功。喉に至らなくても、反復刺針し、穴部が赤潮し、または軽く血滲むようになれば、喉病患は軽減する。ことに扁桃炎に効あり。

 

 

3.合谷皮膚刺激に対する筆者の見解

柳谷素霊の一本鍼伝書の技法は、深刺するものが多いが、「喉の鍼」に限っては浅刺多数刺している。合谷部の皮膚は手背~指背においては、特異的に橈骨神経皮枝の固有支配なので、この神経を刺激することが意味をもつのかもしれないと考えている。

合谷部の筋は、表層筋が第1背側骨間筋、深層筋が母指内転筋だが、ともに尺骨神経支配なので、橈骨神経支配である皮膚の刺激でなくてはならない理由があるのかもしれない。
合谷部皮膚刺激で有名なのが、桜井戸の灸(面疔に対する合谷多壮灸)だが、柳谷素霊の合谷浅刺多数枝との共通項とは、口~咽喉部の血行を盛んにするという共通項があるように思う。 

※桜井戸の灸については、多って、当ブログ内<桜井戸の灸について ver. 1.2 > 参照のこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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