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シンスプリントに対して骨膜針刺激が有効だった2例

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筆者は、かつて当ブログに、シンスプリントの治療理論を、次のように解説した。

 https://blog.goo.ne.jp/admin/editentry?eid=cd953503b935651c5c89be3ac81565fa&p=1&sort=0&disp=50&order=0&ymd=0&cid=9d94181681987c7c4c968a290a4ce540

今回は実症例について紹介する。

 

1.後内側型シンスプリント(50歳、女性)

喘息持ちで、週1か2週に1回来院している。半年ほど前から下腿後側から足底に痛み出現した。四六時中ひきつるような痛みがあった。当初は足底筋膜炎+腓腹筋過筋症と考え、湧泉・踵骨内縁、承山・承筋に刺針したが、あまり改善がみられなかった。
そこで、後内側型シンスプリントではないかと考え直して、足三里と地機から後脛骨筋~
脛骨後縁に擦りつけるような針を行い、足関節底背屈の運動針を行わせた後抜針した。
すると治療直後、下腿のひきつりが楽になったとのことだった。

2.前外側型シンスプリント(52歳、男性)

数年間から右仙腸関節部の鈍重感が存在していた。痛み増強するたびに当院来院し、当院診断は右仙腸関節機能障害で、右仙腸関節運動針を行うと、数週~数ヶ月間痛みは改善している。
4ヶ月前から右脛に引きつり感があると訴えだした。右仙腸関節運動針を行うも、この症状はあまり改善しなかったので、局所である足三里から刺針し、前脛骨筋に刺針しつつ足関節の底背屈の運動針を行わせるもあまり改善しない。そこで前外側肩スプリントではないかと考え直して、通常の脚三里のやや外側で脛骨骨内縁にこすりつけるように深刺すると、症状部に響いた。治療後、初めて脚の具合がよいという感想を得ることができた。

3.解説

シンスプリントというと、ランニングやジャンプの選手がかかる疾患と思いがちだが、病名の概念は一定していないようである。上記例のように、常に下腿のある部位が引きつっているという訴えもシンスプリントであると考えてよいと思う。シンスプリントに対して、一般の針灸治療であれば、筋々膜刺激を行うところだが、それでうまく処理できず、骨膜を引っ掻くような刺激が有効となった。骨膜刺激は捻挫に対して非常に効果があることは知れるが、シンスプリントに対しする骨膜刺激も有効であることが確認できた。
 

上記2タイプのシンスプリントの共通点は後脛骨筋刺激にあるので、後脛骨筋の走行を提示しておく。


なおこのような骨膜刺激の針法は、小山曲泉著「神経痛掃骨針法」(明治東洋医学院出版部刊)に同様の技法が参考になる。


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