私は、現在<鍼灸奮起の会>の上肢・下肢症状の鍼灸治療の実技講習を行っている。その下準備のため、この数ヶ月間これまでの治療を見直し、整理している。診断名は違っても鍼灸治療法が同じになる場合がある。
1.下肢症状をもたらす足底筋膜炎、モートン病、シンスプリント(後内側型)は、鍼灸治療方法は類似性がある。
すなわち足関節の底背屈で痛み増悪す るものはヒラメ筋・腓腹筋の過緊張を緩める治療を行い、足指の屈伸で痛み増悪するものは 長・短母趾屈筋や長母趾屈筋を緩める治療になる。
足底筋膜炎の鍼灸治療
https://blog.goo.ne.jp/ango-shinkyu/e/83c59673cb2f50c8faf765b63d8060ec
モートン病の鍼灸治療
https://blog.goo.ne.jp/ango-shinkyu/e/bb2298bdb1658db50e457c2bf842da80
シンスプリント後内側型の鍼灸治療
https://blog.goo.ne.jp/ango-shinkyu/e/cd953503b935651c5c89be3ac81565fa
2.ヒラメ筋・腓腹筋の刺針肢位の相違点
ヒラメ筋・腓腹筋は、ともに下腿後側にあるが、効果を生み出すにはその刺針肢位が異なってくる。以前にも指摘たが、再度この場で説明したい。
1)解剖
ヒラメ筋と腓腹筋は合してアキレス腱となり踵骨後部に起始する。ヒラメ筋停止は脛骨と腓骨に直接つながっている単関節筋で、その機能は足の底屈時である。腓腹筋は停止は膝関節を乗り越えて大腿骨下端なので、足関節・膝関節の二関節筋になる。
2)下腿脾経の触診体位
仰臥位で足底を自分の膝関節内側に付着させるような肢位をさせ、下腿内側を触診すると、膝屈曲位なので腓腹筋は弛緩し、ヒラメ筋は緊張状態にある。脛骨内縁の脾経を触診する場合、このような姿勢にすると圧痛硬結を触知しやすい。なお私は地機はヒラメ筋停止部に取穴している。
地機の教科書位置内果の上8寸、脛骨内側縁の骨際。脛骨内側の上1/3の処。
3)下腿膀胱経の触診体位
下腿後側の腓腹筋・ヒラメ筋ともに緊張させるには伏臥位で膝完全伸展にする。下腿膀胱経の触診と刺針はこの体位で行う。