両乳間を結んだ胸骨体中央に膻中(任)をとり、その下1寸には中庭(任)がある。
中庭の外方2寸に歩廊(腎)をとり、歩廊のさらに外方2寸に乳根(胃)をとる。
以上の経穴の中で歩廊以外は、基本的ななツボであり、取穴の基準点ともなっている。
1.乳根
乳根の穴名由来は、自明なの省略する。左乳根は心尖拍部(=虚里の動?)であり、古典では胃の大絡として認識されたと考えている。これについての説明は、筆者のブログ参照のこと。
胃の大絡と脾の大絡の考察 2023.6.9
https://blog.goo.ne.jp/ango-shinkyu/e/f1b72a840a5c85aa0f5a2b07a07414f0
2.膻中
「膻」とはヒツジのように生臭いのこと。膻中は乳頭の間にあるので、乳頭から漏れ出だ乳汁が流れ出て、膻中にたまるりやすいことから命名した。生臭いのは溜まった乳汁が発酵した結果だろう。
3.中庭
中庭のすぐ上には胸骨体が隆起している。胸骨体は深部に心臓があって非常に重要な場所なので、その高貴な場所に続く庭という意味になる。これが外庭ではく中庭としたのは。胸骨体から外れたとはいえ、左右肋骨弓間にあり下には剣状突起があるので、ここはまだ宮殿の敷地内という認識だろう。
4.歩廊
歩廊穴のツボ名由来についていろいろな参考書を開くも、しっくりくるものがなかったので、自分で考えてみた。
歩廊は、もとは建築用語で、二列の柱をつなぐための細い通路という意味がある。現代では工事現場の足場のようなものであり、歩道橋(少々立派すぎるが)もこのたぐいになる。
歩廊穴は肋骨軟骨縁にあり、左右歩廊の内側は陥凹して下にが剣状突起がある。また左右歩廊は腹直筋停止部により連結している。このことを踏まえると次のような位置関係が得られるだろう。以上、歩廊の由来を簡単にまとめると、左右の肋軟骨が腹直筋停止で連絡している部位といえると思われた。