これまで何回か経穴名の由来について書いてきたが、ここでは正穴354穴と若干の奇穴について、五十音順に再整理することにした。今回は前編は、ア~ソまで。
次回は後編でタ~ワまでになる。経穴の由来には、色々な見解があり、今となっては何が正解なのかわからなくなってしまった。ただ、無味乾燥な経穴名を丸暗記するのではなく、古人が考察したであろう自然や社会、物の考え方を空想することは、同じ人間として楽しみの一つであろう。参考資料の一つとして、事典のように御活用ください。
ア・イ
あもん 瘂門(督) 瘂=唖(おし)。声を出せない者のこと。発声するのに要となる部位
いき 譩譆(膀) 譩は「あ~」との発語。譆も「ああ」との感嘆表現。押圧されると嬉しく、ため息が出る部位。
いくちゅう 彧中(腎)
①彧は草木がや物事が盛んなさま。
②「彧」=郁。いろどりの意味。この穴は肺の傍にあり、肺を滋養する役割がある。肺の形は蓮花や牡丹根に似ている。
いしゃ 意舎(膀) 脾兪の傍にあり、脾の精神エネルギーを蔵する。
いそう 胃倉(膀) 胃倉は胃兪の横にある。胃は「倉廩の官」と呼ばれる。「胃」は胃袋、「倉」は物は貯えるところ。
いちゅう 委中(膀) 委とは女性が腰をまげ、禾(=稲穂)を拾う様子。腰の治療穴であることを示す。
いどう 維道(胆) 維とは糸でつなぎとめる。みな一緒にとの意味がある。
いゆ 胃兪(膀) 胃の診療に用いる穴
「兪」は元々は刃物で木を削って丸木舟をつくること。これは余分な木を削る→余分なものを除去することが治療と同じ。
また丸木舟を叩いて味方に合図を送ること→身体を叩いて診察することが治療と同じ。(柴崎保三)
いよう 委陽(膀) 「委中」の外側(陽側)にある。
いんげき 陰郄(心) 「郄」は骨や筋の隙間。前側内側にあることから陰。
いんこう 陰交(任) 「交」=交わる。任脈・衝脈・腎経の陰経の三脈が交わる穴
いんこく 陰谷(腎) 「陰」=内側。膝の内側の谷間にあるという意味。
いんし 陰市(胃) 「市」=集まること。本穴は陽経に属しているが、下半身の冷え等の陰証に効く。
いんどう 印堂(奇) 眉間中央。「印」は木版、「堂」は場所。昔の人はこの場所に紅点を付けて装った.意思決定の場所でもある。
いんぱく 隠白(脾) 「隠」は隠す。隠れた白い部分。肺気がここに隠れている。
いんぽう 陰包(肝) 「陰」は足の内側のことで、肝経は足の内側に深く潜行する(=包み込む)ことから
いんもん 殷門(膀) 殷=真ん中。大腿中央にある穴。殷は中国大陸最初の王朝。
いんりょうせん 陰陵泉(脾)脛骨の内側顆を陰陵といい、湿気を出すので泉とした。
いんれん 陰廉(肝) 陰部辺縁にある穴。足の内側で「陰」、「廉」は辺縁。股関節内側にあるから。
ウ・エ
うんもん 雲門(肺) 蒸器の上に集まった蒸気=雲にたとえた。蒸し器である体幹内臓の上にある蒸気のある部分のこと。
えいふう 翳風(三) 翳とは、鳥の羽。鳥の羽(耳介の比喩)が風よけとなって隠されている部。
えいめい 翳明(奇) 翳風穴の近くで、視力を良くする効能。
えいん 会陰(任) 外陰部と肛門との間。二つの陰の間にある。
えきもん 液門(三) 三焦経の2番目の穴で、第4中手指節関節の下すなわち指間の近くで手掌に近い手背に本穴はある。
手掌は汗をかきやすいので、液門あたりまで汗で濡れている。液とは少量の水。 →「中渚」参照
えそう 会宗(三) 三焦経の脈気が支溝から三陽絡へ行くには、支溝から出たのち必ず本穴に集まり三陽絡へ転入する。「宗」は集まるの意味。
えよう 会陽(膀) 前を会陰、後ろを会陽という。会陰と相対している穴。
えんえき 淵腋(胆) 脇の下に隠れる水溜まり
オ
おうこつ 横骨(腎) 横骨とは恥骨の旧名。骨度法では横骨長は6.5寸となっているので恥骨結節両端間の長さと理解するとはできない
恥骨上枝の左右外端の間の長さを意味するのだろう。
おくえい 屋翳(胃) 「翳」とは屋根、「翳」は羽でできた大きな扇子。屋翳とは、屋根やひさしに相当する。
おんる 温溜(大) 「温」は温暖なこと、「溜」は流注の意味である。温経散寒の効果がある。
カ
がいかん 外関(三) 腕の外側にある関所。
かいけい 解渓(胃) 窪んだ場所を「谿(渓)」とよび「解」は開放するの意味。足関節の陥凹部にあり、靴ひもをほどく場所にある。
がいりょう 外陵(胃) 「外」は傍ら,突起したところを「陵」という。
体に力を入れると、腹部に気が集まり、外側にある腹筋が盛り上がる様が陵のようである。
がいきゅう 外丘(胆) この部の筋は丘のように隆起していることから。
かがい 華蓋(任) 華蓋とは、天子の頭上にある絹の傘。五臓六腑中で最も高い地位(=肺)にあることを示す。あるいは華蓋=肺そのもの。
肺の形は、君主の頭上にある傘に似ている。
かくかん 膈関(膀) 膈兪の傍にある、横隔膜の関所。
かくそん 角孫(三) 角とは耳上角、孫ちとは小血管=孫絡のこと。
かくちょう 鶴頂(奇) 膝蓋骨=鶴の頭に似ている。その頂にあるのが鶴頂
かくゆ 膈兪(膀) 横隔膜の診療に使う穴
かつにくもん 滑肉門(胃) 腹直筋上で、下衣を留めている腰ヒモが滑りやすい処。
かりょう 禾髎(大) 「禾」は稲束。「髎」は隙間。
がんえん 頷厭(胆) 「頷」は下顎骨、「厭」とは合わせること。下顎の運動で、この部の動くことを示す。
かんげん 関元(任) 下腹で臍と恥骨間を5寸とした場合、臍下3寸に関元がある。
丹田は気海・石門・関元あたりを意味する部位で、その代表格が関元となる。丹とは紅と同様な意味で、火が燃えるような生命力のこと。
道教では身体を三分割し、各部には上丹田・中丹田・下丹田とよばれる要所がある。
上丹田(別名、泥丸宮)は脳中にあり知性をつかさどる。中丹田は心臓のそばには絳宮(こうきゅう)がある。絳とは深紅の意味で感情の起伏に関与している。
下丹田は精を養っている部で、精に気が注入されて初めて神(正常な精神)ができる。精の源でもある。
かんこく 陥谷(胃) 「陥」は陥凹、「谷」は山の谷。距骨の間隙で、腱と腱の隙間にある。
かんこつ 完骨(胆) 完骨=乳様突起
かんし 間使(包) 「間」=隙間。「使」=命令を受けて使いをすること。
かんしょう 関衝(三) 「関」=関所、「衝」=要衝。経気がもっとも盛んな処。
かんちょう 環跳(胆) 環は丸いことで股関節回転軸。ジャンプ時に機能する。
かんもん 関門(胃) 「関」は関所、「門」の開閉を管理すること。
胃と腸の境目で、閉門で食を受けつけず、開門で下痢が止まらない状況の患部になる。時に便秘にもなる。
キ
きかい 気海(任) 元気、腎の精気が集まるところ。気海・石門・関元の3穴あたりを丹田とよび、生命力の火を示す。→「関元」参照
きけつ 気穴(腎) 腎気が集まるところで、ここに気を凝縮させる。
きこ 気戸(胃) 気は、口から脾・胃へ、鼻から肺へと通じる。本穴は、どちらへも通じるため、気の証に効果がある。
扉のように開けば気を巡らせ、閉めれば気を蔵する.
きしゃ 気舎(胃) 「舎」とは部位のこと。本穴は気管の近くにあり気の出入りする部。
きしょう 気衝(胃) 鼠径部で、胃経が90度に折れ曲がって流れるところ。気血が衝突する(脈拍は触知しない)。 「衝」とは突き上げる動き。
きもん 箕門(脾) 古代中国で、箕星(みぼし)は南斗六星から柄を除いた四角形の部分。
箕(米から籾殻を取り除く農器具)の形に似ている。箕を使う姿が、取穴時に膝を曲げて足を外展させた姿に似ている。
前漢時代の箕
きもん 期門(肝) 十二正経の最後のツボ。「期」=一周すること。肺経の中府から始まる気血が十二経すべてを巡り、期門が終点。
きゃくしゅじん 客主人(胆) 頬骨を隔てて主人である下関と対照的な部位。主人と同格の賓客。
きゅうきょ 丘墟(胆) 大きな丘を「墟」という。「丘」=小高い丘。くるぶしの形を墟にたとえた。
きゅうび 鳩尾(任) 剣状突起=鳩の尾の形
きょういん 頭竅陰(胆) 竅は強くひきしまった細い穴の意味。
足竅陰(胆) 「竅」は強くひきしまった細い穴のこと。人体の穴は九竅ある。
陽竅=耳孔(二)、目孔(二)、鼻孔(二)、口孔(一)
陰竅=前陰と後陰(二陰)
頭竅陰は頭部にあって眼、聾、舌強直、鼻閉、咳逆、口苦などの竅の病を治す。足竅陰は足にあり竅の病を治す。
きょうかん 強間(督) 後頭部の人字縫合にある部。→「顖会」参照
きょうきょう 胸郷(脾) 「郷」は人が集まる村々(=故郷など)。肋骨はタル状をしており、その側面中央が最も太くなる。タルの中身も豊富なので、郷に例えた。
きょうけい 侠渓(胆) 中足骨の狭い間隙にある。狭い渓谷の意味。
きょうしゃ 頬車(胃) 顎関節は車輪のようによく動く。頬にある車輪。
きょうはく 侠白(肺) 侠は挟む。上腕二頭筋の長頭と短頭中に挟まれた部位。
きょくえん 曲垣(小) 「垣」とは塀や垣根のこと。肩甲骨の形が低い塀のように弯曲していることから。
きょくこつ 曲骨(任) 古代、恥骨のことを曲骨とよんだ。→「横骨」参照
きょくさ 曲差(膀) 睛明からここまで一直線ではなく、曲がることを示した
きょくせん 曲泉(肝) 「曲」は屈曲する。「泉」は湧き出る。
きょくせん 極泉(心) 「極」は最上部、最深部。『泉』は水が湧き出る陥凹。わきの一番深いところにあり、心経の最も高い場所にある。
きょくたく 曲沢(包) 曲とは、関節を曲げるところ。関節部にある汗の出やすいところ
きょくち 曲池(大) 「曲」は肘関節の屈曲で、ここに現れる陥凹の形状が浅い池に似ている。
ぎょくちん 玉枕(膀) 玉=頭蓋骨のこと 寝る時にマクラが当たる部位
ぎょくどう 玉堂(任) 玉堂=高貴な場所 中国の科挙合格者の中でトップが配属される部門。歴史編纂、皇帝の発言を記録する役割。
きょくびん 曲鬢(胆) 鬢=額の左右にある髪の生え際のこと。
ぎょさい 魚際(肺) 母指球を魚に例えた。母指球の端にある部位。
きょりょう 居髎(胆) 居とはしゃがむ意味。「髎」は骨の陥凹部。膝を屈してできた陥凹部に取穴することから。
きらい 帰来(胃) 帰来=帰ってくること。病弱で子供が生まれず、実家に帰された女性が、このツボ刺激で元気になり夫の元へ帰れた。
ぎんこう 齦交(督) 「齦」=歯茎。歯茎と上唇小帯の交わるところ。
きんしゅく 筋縮(督) 両肝兪の中点にあって、肝は筋を主る。痙攣、搐䐞(ちくでき、手足先の小さな痙攣=クローヌス)など、筋の諸症状を治療する。
きんもん 金門(膀) 金のように重要な処の意味。膀胱経の経気が注ぐ門戸。
ケ
けいきょ 経渠(肺) 渠=人工の水路。太淵(大きな流れ緩やかな場所)から発して水路を通るの意味。
渠には明渠と暗渠の区別がある。蓋をした渠を暗渠といい、土地の有効活用のため都市部に多く見られる。
げいこう 迎香(大) 鼻治療の要穴。香り迎え入れるところ。
けいこつ 京骨(膀) 第5中足骨のこと
けいみゃく ?脈(三) 「?」はひきつけ、痙攣の意味で、「脈」は絡脈の意味。
耳後浅静脈の上にあり、小児の痙攣やひきつけなどの病症を治すことができるので。
けいもん 京門(胆) 「京」はみやこ。「門」は気血の往来するところ。胃の募穴であり、非常に重要なので京門と名づけられた。
げかん 下関(胃) 要所である顎関節のすぐ下
げかん 下脘(任) 脘=平たく伸ばした干し肉。すなわち腹直筋の上方の穴。
げきもん 郄門(包) 橈骨・尺骨の間である骨の隙間、
げこきょ 下巨虚(胃) 脛骨と腓骨の下の間隙を、大げさに巨大な空虚と捉えた。
けついんゆ 厥陰兪(膀) 心包の診療に用いる穴
けっかい 血海(脾) 女性は血を本とする。本穴は婦人病治療の要穴。
けつぼん 缺盆(胃) 缺盆骨=鎖骨のこと 缺盆とは大鎖骨上窩
げりょう 下髎(膀) 第4外仙骨孔。髎は骨の陥凹。
げれん 下廉(大) 「廉」は丘陵や菱形の角(前腕の菱形の筋肉)を意味。
肘を曲げて拳を握ると、この部分の筋肉が菱形状に隆起。この菱形の上の角。
けんがいゆ 肩外兪(小) 「肩外」とは肩甲骨外側を示しており、「兪」は気が出入りすること。本穴は肩甲骨外側上縁にあるため。
けんぐう 肩髃(大) 肩甲骨肩峰端を「髃」という。
けんしょう 懸鐘(胆) 「懸」はつり下げる。昔、子供や踊り子が、この部位ぶ鐘の形をした鈴をつり下げていたことから。別名を絶骨。.
けんすう 懸枢(督) 扉の軸のこと。上下の胸椎と腰椎を繋げる役目がある。
けんせい 肩井(胆) 肩の上から缺盆を臨む。井戸のイメージ。
けんちゅうゆ 肩中兪(小) 第7頚椎と第1胸椎棘突起間の外2寸に取る。 肩こり、項強、肩背痛に効く。
「肩は肩部、「中」は肩井・大椎2穴をつないだ中間の意味。
けんてい 肩貞(小) 「貞」=正確。本穴は腕を上げ下げしても、動かずに正しい位置にあるところから。
けんり 建里(任) 「建」=建ておく、位置する。「里」=居住地、ここでは胃にあたる。胃の通り道の途中に位置することから。
けんろ 懸顱(胆) 「懸」=ぶら下がる。「顱」=頭部。頭から出た髪の毛がぶら下がる部位。
けんり 懸釐(胆) 「懸」=ぶら下がる。「釐」=整える。頭から出た髪の毛を整える。
けんりょう 顴髎(小) 顴=頬骨、?は骨の陥凹
けんりょう 肩髎(三) 肩関節の隙間。「?」=隙間
コ
こうかん 行間(肝) 足拇趾と示指の間にあることから名づけられた。
こうけい 後渓(小) 中手指節関節の後方を意味し、拳を握った時にできる尺側横紋の溝を「渓(谿)」に例えた。督脈との交会穴。
こうこう 膏肓(膀) 膏も肓も身体の脂肪の塊こと。脂肪とは現代でいう横隔膜に 相当。すなわち胸腔と腹腔を分ける部ということ。
ごうこく 合谷(大) 「合」は二つのことが合わさること。筋と筋とが合わさったくぼみ。別名「虎口」=虎の両指が開くと虎の口に似る。
「谷」は、地表にある細長いくぼ地のこと。渓谷の「渓」のように山の間にあるものではない。
こうさい 孔最(肺) 昔の人はこの孔が「熱病で汗が出ない」のを治すのに最も効果的であると考えた。本穴が肺気を宣通し腠理を開泄する。
こうしん 交信(腎) ①腎経は脾経の三陰交で交わるという説、②生理周期を月信といい、この経穴が生理不順に有効との説あり。
こうそん 公孫(脾) 脾経の分岐。本穴は脾経の絡穴であることから。
こうめい 光明(胆) 絡穴で肝経に絡む。目疾に効くことから。
こうもん 肓門(膀) 「肓」は肓膜(腸間膜)を指し、「門」は出入りするところという意味。
こうゆ 肓兪(腎) 「肓」=隠れた部分。横隔膜。「兪」=気の集まったくぼみ。衝脈との交会穴でもあり、婦人科系や消化器系に効果あり。
ごうよう 合陽(膀) 膀胱経の第1枝、第2枝はここで合流するとの意味。
こけつ 巨闕(任) 「闕」は宮殿の門。巨大な宮門のこと。肋骨弓の陥凹部。
ここつ 巨骨(大) 昔は鎖骨を巨骨とよんだ。
ごしょ 五処(膀) 膀胱経の5番目の穴
ごすう 五枢(胆) 「五」は五臓、「枢」は枢要。腹部の胆経の真ん中に五枢がある。五臓の気の集まる枢要な部。
ごちょう 後頂(督) 頭頂の後方
こぼう 庫房(胃) 「庫」は倉庫、「房」は厨房とか工房。貯蔵のための小部屋。その下にある臓器「肺」をしまっている所。
ごり 足五里(肝) 「里」=寸、集まることろ、村という意味もある。脾経の箕門の上5寸(=里)からきている。
手五里(大) 昔、「里」には「寸」の意味があった。肘を屈曲させ、肘尖から5寸であることから。
こりょう 巨髎(胃) 「巨」は大きい、「髎」は骨の隙間あるいは陥凹。頬骨と上顎骨の隙間にあるため。
こんもん 魂門(膀) 魂(たましい)。目に見えぬ気をつかさどる。
魂は気をつかさどり死ぬと天にのぼり神となる。形(=肉体)を主どるのは魄。魄は地上に止まって鬼となる。「魄」は白+鬼で、白は骨のこと。鬼は、頭の大きい非人間的なものという理解になる。 こんろん 崑崙(膀) 崑崙山のこと。アキレス腱の高まりを崑崙山に例えた。
崑崙山は、仙人が住むとさっる中国の西方にある伝説上の山。現在中国にある崑崙山脈とは別物。
サ
さんいんこう 三陰交(脾) 足の山陰経(脾経、腎経、肝経)が交わる処。
さんかん 三間(大) 指の第3関節(MP関節)のこと
さんしょうゆ 三焦兪(膀) 三焦の診療に用いる。
さんちく 攅竹(膀) 眉の内端にあるツボ。眉を竹に例えた。攅は「杖」の意味。攅竹には「竹の杖」の意味もある
さんようらく 三陽絡(三) 手の三陽経(大腸経、小腸経、三焦経)が交わる処。
さんり 手三里(大) 肘から3寸離れた部位。人体の長さを道の距離に例えた。「里」は村里、居住地の意味。
シ
しいん 至陰(膀) 本穴は太陽の経脈の気が終るところで、ここで足少陰腎経に交代する。
つまり陽気がすでに尽き、陰気が起ころうとていることからなづけられた。
しきゅう 紫宮(任) 古代中国では、天帝が住んでいる星、すなわち北極星で、北極星を紫微星(=貴重な星)とよんだ。心臓の位置にある。
古代中国では五方分類の中央になる黄色が基調で、黄色い服は皇帝以外に着るのを禁止されていた。ある種の巻き貝からとれる紫染料が非常に高価だと知って後からは、紫(貝紫)も非常に貴重な存在に なった。現在、北京には市内中央に故宮(皇帝の住まいの史跡)があり、別名紫禁城とよばれる。ちなみに聖徳太子が定めた冠位十二階の最高位である紫の冠は、紫芋(芋紫)を染料に染めたもので、とくに高価なものではない。つまらぬことに金をかけない聖徳太子は聡明だった。
しこう 支溝(三) 「支」は肢に通じ、狭いところを「溝」という。前腕の骨と筋に挟まれたところにあるため。
じごえ 地五会(胆) 五とは五本指のこと。地面に足をつけてしっかり立つ。
じかん 二間(大) 指の第2関節=PIP関節のこと
ししつ 志室(膀) 腎兪の傍にあり、腎の精神エネルギーを蔵する部
しせい 支正(小) 「支正」は経脈の分支。「正」な主体という意味。小腸経は本穴から絡脈の分支が出て心経に連絡する。
しちくくう 絲竹空(三) 絲竹空とは細い竹筒で、眉毛のたとえ
しつかん 膝関(肝) 膝の関節部にあることから名づけられた。
しつがん 膝眼(奇) 膝蓋靱帯の両側にある陥凹を眼に例えた。
じつげつ 日月(胆) 日月で、日(=太陽)は胆、月は肝をさしている。期門と日月は、車の両輪のように協調していること。
唐の文人、韓愈は、「肝胆相照らす」という成句を残した。徳の高い二人がいて、互いに相手に感化されつつ、心底親密な関係を築くという交友の理想を示してる。
しとく 四瀆(三)
①瀆=溝のこと。瀆には、汚濁を海に流すという意味もある。
②中国の四大河。長江(下流は揚子江とよばれる)・黄河・淮水(わいすい)・済水。
三焦経の水流:わずかな水(液門)が池(陽池)となり、やがては大河(四瀆)となるが、やがて流れはなくなり水溜まり(消濼)になる。
しはく 四白(胃) 白=空白。骨の小さな穴。
しまん 四満(腎) 「四」=四隅に広がるい。「満」=みたす。腹部の代表する不調(血・気・食積・水湿脹満)を主治とする。
じもん 耳門(三) 聴力の門。
しゃくたく 尺沢(肺) 沢は水の集まる処。
しゅうえい 周栄(脾) 「周」はすみずみまでという意味。用意周到という熟語がある。「栄」は営と同じ。栄養素の意味。
じゅえ 臑会(三) 上腕は「臑」は上腕、「会」は本穴が交会穴で三焦経と陽維脈の会うところ。
じゅゆ 臑兪(小) 「臑」は上腕部で肌肉が豊富で骨に付着していない処.「兪」は気が出入りする兪穴の筒の意味。
しよう 至陽(督) 上背部は陽中の陽である。本穴は第7胸椎下で、これより上は陽部に到達する意味を指す。
しょうえい 正営(胆) 「正」は正確。「営」は営気の意味。頭部5穴の真ん中。
しょうかい 照海(腎) 「海」は水が溜まるような凹地。「照」は光り輝く、あるいは広いとの意味がある。
照海は足の内果下方で、わずかに凹んだ部なので、広い凹みと捉えた
腎経の流れ:湧泉穴から泉のように水が湧き出る。太谿の処で一つに集まり、大きな渓流となる。
水の流れは太谿→大鐘→水泉→照海と内果の平らな処をグルリと回った後、再び上行して復溜穴に至る。
しょうかい 小海(小) 「小」は小腸経。肘を屈曲した陥凹部(=海)に取るため。
しょうかい 少海(心) 心経の気血流注は、この水合穴で海のように集まる、
じょうかん 上脘(任) 脘=薄くのばした肉のことで、腹直筋の形状の示す。腹直筋の上方。
しょうきゅう 商丘(脾) 「丘」は丘陵。脾の経金穴の金は五音では「商」音。
しょうきゅう 承泣(胃) 泣いた際に涙が垂れる場所
しょうきょく 商曲(腎) 肺とは大腸はともに金に属し、金の音は商。このツボは横行結腸が垂れ下がる処になる。
しょうきん 承筋(膀) 腓腹(ふくらはぎ)のふくらんだ場所。転筋とはこむらがえりのこと。
しょうこう 承光(膀) 天からの光を受け取り、、眼疾患を治す効能がある。
じょうこう 条口(胃) 細長いことを「条」という。出入する場所を口にたとえている。
本穴の取穴時、患者を椅座位で足底を地面につけた後、足関節を背屈させると、筋肉が陥凹し、一すじの形状を呈する。
じょうこきょ 上巨虚(胃) 脛骨と腓骨の上の間隙を、大げさに巨大な空虚と捉えた。
しょうざん 承山(膀) 左右の腓腹の割れ目で筋に移行する部位。
しょうしょう 少商(肺) 末端は「少」という、「商」は五音の肺に金に属く。
しょうしょう 承漿(任) 漿(液体、この場は唾液)。垂れた唾液を受け止める処。
しょうしょう 少衝(心) 心経の井穴。「井」は水の出るところ。「衝」は突然、水が溢れ出る様な症状に有効。
じょうせい 上星(督) 天空の星を見上げた時に、星に最も近い場所。
しょうたく 少沢(小) 「少」は小と同意で小腸経。小腸経の最初の経穴のため、気血が潤沢にある。
しょうちょうゆ 小腸兪(膀)小腸を診療する処。
しょうふ 少府(心)
①「少」は少陰心経。「府」は集まるところ。少陰心経の内 府(内側のこと)の疾患。
②.古代中国の秦で初めて設置された官名。税と皇室雑務を管轄した。
しょうふ 承扶(膀) 扶=支える。殿部の重量を支える大腿基部にある穴。
しょうまん 承満(胃) 「承」は受納。「満」は充満。不容穴の下にあり、水穀で満タンという意味。
しょうもん 章門(肝) 「章」は明らかの意。八会穴の臓会で、脾経の募穴なので、脾の栄養を受けている。五臓の疾患を治す効果が明らか。
しょうもん 衝門(脾) 大腿動脈拍動部であるた、え
しょうよう 商陽(大) 「商」は五行では、肺経・大腸経ともに金に属し、肺経の少商が陰経、大腸経の商陽は陽経。
しょうよう 衝陽(胃) 「衝」は動くこと。足背にある足背動脈の拍動部。本穴は陽気の動脈拍動部にある。
じょうりょう 上髎(膀) 第1外仙骨孔
しょうれい 承霊(胆) 「承」は受ける、「霊」は神。のこと。頭頂で通天の傍らにあり、神の思惟活動に関与している。
しょうれき 消濼(三) 「濼」=水たまり。水流が消えて、水たまりになる。
三焦経の流れ:少しの水(液門)が池(陽池)となり、大河(四瀆)となるが、やがて流れはなくなり水溜まり(消濼)になる。
じょうれん 上廉(大) 「廉」は丘陵や菱形の角(前腕の菱形の筋肉)を意味。肘を曲げて拳を握ると、この部分の筋肉が菱形状に隆起。この菱形の上の角にとる。
しょくとく 食竇(脾) 竇=通り穴。食?は食べ物の通過道であり食道のこと。
しまん 四満(腎) 腎経の腹部における四番目のツボ。?を散らし脹を消す。
じりょう 次髎(膀) 髎=骨の陥凹、2番目の孔
しんえ 顖会(督) 顖=大泉門のこと。小泉門のラムダ縫合は強間穴。
じんげい 人迎(胃) 「迎」は動くという意味。頸動脈の拍動を手に感ずる処。
『素問・三部九侯論』でいう人間の体を上・中・下に分け、三部九侯(天・地・人)で表すと、このツボは人侯になる。
しんけつ 神闕(任)「神」は生命、「闕」は宮中の門。臍からへその緒をつたい、胎児は滋養されるので、臍は神の気の出入り口だとする。
しんちゅう 身柱(督)「身」は体幹、「柱」は支柱。身体の支柱である脊柱をさす。
しんてい 神庭(督) 脳は元神の府であり、「庭」は門庭(前庭)
しんぞう 神蔵(腎) 心に近い紫宮の両側で霊墟の上にあり、神霊(心)を守る。
しんどう 神堂(膀) 心兪の傍にあり、心の精神である神を蔵する部。
しんぽう 神封(腎) 読みは”しんぽう”。「神」=心、「封」=境界線。胸中線の脇で、心に近い部。
しんみゃく 申脈(膀) 申=樹木の果実が熟して固まっていくこと。足外果の直下にあるツボ。外果を果実にたとえた。
しんもん 神門(心) 心経の原穴。古代の心は大脳活動である神に影響している。
しんゆ 心兪(膀) 心の診療に用いる穴 「兪」→胃兪を参照
じんゆ 腎兪(膀) 腎の診療に用いる穴 「兪」→胃兪を参照
ス・セ・ソ
ずい 頭維(胃) 「頭」は頭部、「維」は額の髪と鬢の髪をつなぐこと。頭髪とヒゲをつないでいる部分。
すいこう 水溝(督) 鼻水の通る溝
すいせん 水泉(腎) 水泉は郄穴(経気が深いところにある)。腎は水の臓=水源。水源が深いところで溢れ出てくるという意。
すいどう 水道(胃) 「道」は道路のこと、本穴は膀胱の上部にあり治水をする役目あることから。
すいとつ 水突(胃) 「水」は漿液(食物の漿液)の意味で、「突」は突き出る意味である。
水を飲み込む時に、ここが大きく上に動く様が気が上衝していくことに(突の状態)たとえられている。
すいぶん 水分(任) 昔、小腸と大腸の間から、不要な水分を腸外に出し、膀胱に至ると考えた。水分を分ける部位の意味。
せいめい 睛明(膀) 睛=ひとみ、くろめ
せいれい 青霊(心) 青は痛みを主る。霊は、病を治すのに霊験あらたか。青霊は、腕や胸、心臓の痛みに効果ある。
せいれいえん 清冷淵(三) 清く冷たい河川水流の緩やかな処。
せきかん 石関(腎) 「関」は物が通らないこと。石のように頑固な疾病を通す効果のある穴。便秘や不妊など。
せきちゅう 脊中(督) 頚椎7椎、胸椎12椎、腰椎5椎の計24椎の脊椎の真ん中に位置しているため。
せきもん 石門(任) この部が石のように固い女を石女(不妊女性)といった。妊婦の禁針穴。機海・関元とともに丹田の一つ。
せんき 璇璣(任)
①「璇 せん」は北斗七星の二番星、も「璣 き」は北斗七星の三番星。ともに美しいとの意味。
ちなみに一番星は天枢
②回転仕掛けの天文器械。渾天儀(天球上の天体の動きを模した機器)
ぜんこく 前谷(小) 前方の谷間。この前穴の後渓と比較。渓の方が高低差が激しい渓谷。
ぜんちょう 前頂(督) 百会の前側
そっこく 率谷(胆) 「率」は寄り添う。「谷」は、ここでは頭骨の縫合をさす。
そっこつ 束骨(膀) 第5趾の基節骨を束骨という。その外側のキワにある穴。
そりょう 素髎(督) 「素」=空白、地のまま。「髎」は骨の陥凹。肺は鼻から開窮することから、鼻先の正中上にあるため。