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肩関節の結髪動作制限に対する針灸治療 ver.2.0

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結髪制限の針灸については、2021.6.27.ブログに書いたが、内容が古くなったので改めて整理し直すことにした。

1.結髪動作とは

髪を後頭で結ぶ動作が十分にできないものを結髪動作制限という。洗濯物を干したり 電車の吊革を持つ時なども結髪動作に含める。結髪動作は、肩関節の屈曲(前方挙上)+外転+外旋の複合動作になる。肩関節の内旋・外旋は、上腕骨頭軸の回転のことで、 肩関節腱板の筋運動による運動である。
      ※結髪動作の語呂:髪(結髪)がくさくて(屈曲)、かゆい(外転)かゆい(外旋)。
 

2.結髪動作の運動分析

1)外転制限

結髪動作の一部となる外転動作の主動作筋は棘上筋である。肩の軟部組織において外転制限の主要原因は、棘上筋腱付着部症(=エンテソパチー)にある。したがってこの筋腱付着部への施術である巨骨斜刺が有効となる場合が多い。単純明快な治療なので間違いがない。

この詳細ついては「肩関節外転制限の針灸治療」ブログ 2024/1/5 を参照
https://blog.goo.ne.jp/ango-shinkyu/e/dafa685b2881c701e46c5361477219d2


2)外旋制限   

※四つの肩腱板の語呂:「消極的ケンカ」消(小円)極(棘上・棘下)的ケンカ(肩甲下)



肩関節外旋の主動作筋は、棘下筋と小円筋である。もしも棘下筋や小円筋の筋力不足で、腕を外旋することができないのであれば、これら2筋の筋力増強トレーニングをするのがよいだろう。しかし外旋ROM低下原因は、棘下筋や小円筋の拮抗筋である肩甲下筋や大円筋の過緊張に原因がある場合がほとんどである。他動的に外旋動作をさせると、肩甲下筋や大円筋の筋伸張痛が出ることになる。針灸治療は、肩甲下筋や大円筋を刺激する。

 

3.外旋制限に対する肩甲下筋刺針(膏肓水平刺)


肩甲下筋が伸張して初めて肩の外旋運動が可能になる。治療は本筋のストレッチ目的で側臥位で膏肓から肩甲下筋に刺針する。つまり針を肩甲骨と肋骨の隙間に入れる。

膏肓(膀)水平刺:患側上の側臥位にて、Th4棘突起下外方3寸、肩甲骨内縁を刺入点とする。3寸#8で5~7㎝水平刺するとズーンとする強刺激が得  られる。トリガーポイントに当たらなければ響かない。強い響きが欲しい場合には、肩甲下筋に刺針したまま、ゆっくりと肩関節の自動外転動作を行う。

側臥位で肩甲骨-肋骨間に刺入するには、肩甲骨外縁(肩貞)から刺入する方法もある。この方法では短い刺入(3~5㎝)で響く。これも肩甲下筋トリガーポイント刺激になる。

 

4.外旋制限に対する大円筋刺針

大円筋は、肩の内転と内旋に作用する。過緊張状態にある大円筋は、外転・外旋運動で伸張を強いられ、結髪動作の制限と痛みが生ずる。
 
1)側臥位にて大円筋刺針
 肩貞(小):腋窩横紋上端から上1寸。大円筋中。
針灸治療は、側臥位にての結髪動作を指示。肩甲骨が上方回旋し、肩甲骨下角が外にとび出してくるので、検者の腕は、患者の肩甲骨外縁を触知して大円筋を押圧しつつ肩貞を取穴。肩甲骨外縁に向けて刺針。

   

 

2)大円筋ストレッチ

下図はヨガで「ネコの背伸びポーズ」、通称「ネコストレッチ」といわれるもの。四つん這いになり、尻をに引くようにする。3~5呼吸ほどキープする。上腕骨を強く挙上させることで、肩甲骨-上腕骨間にある大円筋を強く伸張させている。
この姿勢のまま、大円筋刺となる肩貞や肩甲骨下角あたりに刺針してもよい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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