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Channel: AN現代針灸治療
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右急性側腹痛の自験例(中部胸椎多裂筋由来の激痛)

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62才、男性

事例

2ヶ月前、右側腹部に激痛を生じた。その1週間くらい前からたまにチクチクした右側腹部痛はあったが、たしたことなかったので放置していた。

今回の右側腹部痛は床に横になっていた後、上体を起こそうとした瞬間に発症した。右手を床につけて上体を起こした姿勢のまま、動けなくなった。少しでも動かそうとすると激痛が右腹の帯脈穴あたりに走るので、あぐら座りにも、横になることもできなくなった。一時間楽に感ずる体位を探ったが無駄骨だった。自宅にあった鎮痛剤のロキソニンを飲んでも症状不変。やむを得ず救急車を呼んだ。10分後位で到着するとのこと。

右腹痛を生じたのは二階のリビングでだったが、救急車に乗るには、ともかく一階に行かねばならない。痛いのを我慢し、気力を絞って自力で立ち上がり、ゆっくりゆっくり階段を下った。階段を下り終えたところで到着した救急隊と出会った。さっそくストレッチャーに乗せられて病院に運ばれた。なお自分が患者となって救急車に乗ったのは初体験だった。
 
当直の外科医が診療にあたった。症状のある右腹部を圧迫しても痛みはないが、体動して腹筋を働かせるとズキンと痛む状態。レントゲンは正常、MRiでは内臓に異常はないが、右内腹斜筋か厚くなっているという。超音波検査異常なし。結局治療はボルタレン座薬を入れただけだったが、30分も経つと、自分で立つことができるまでに腹痛は軽くなり、そのままタクシーで帰宅。改めでボルタレン座薬の効き目を実感した。その8時間後に、再びボルタレン座薬を使ったが、以来痛みは消失している。



考察

あの痛みは何だったのだろうか。側腹部や腰殿部に圧痛はなかったでの、中背部はどうなのかと思ったが、自分の指では届かないので、決めてがない。そこで寝転がって背中の起立筋あたりにコーヒーの瓶をあてがい、自重で圧迫してみたところ、非常に圧痛ある部位を発見した。これは私が以前から主張している背部一行症状群に違いないと思った。伏臥位で家内に指圧してもらったが、素人なのできちんとしたツボを圧迫できなかった。しょうがないので円皮針を貼らせたが、今ひとつ。しかし症状は軽減した。毎日素人指圧してもらっていると2週間ほどで左腹痛は消失した。

MRIで発見した右側の内腹斜筋だが、帯脈を直角に押圧しても痛みは生じないのに、指先で引っ掻くように腹筋を擦りつけると、確かに圧痛ある筋のシコリを触知できた。この筋コリは結果であって、原因は、中背部多裂筋のコリによるものだろう。


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