1.はじめに
最近、足底筋膜炎と下腿三頭筋の関係についてのブログに書いてみた。足底筋膜炎時は、足底痛を出さないよう、足底筋膜の伸張させないように、母趾MP関節の背屈や足関節背屈動作をしないように、下腿三頭筋や前脛骨筋はアイソメトリック収縮をするのかもしれないという内容だった。
そこまで書いてみて、腰痛の特効穴である中封や崑崙の治効理由について、思いつくことがあった。
2.腰痛に中封や崑崙刺激が効果的な理由とは?
強い腰痛では、立位で上体前屈姿勢になることが多い。無理に上体をまっすぎにしようと思うと、腰痛が増悪する。これは腰部を安静に保つための、腰部筋のの保護スパズムによるものと説明されてる。上体前屈姿勢時は、歩きにくくもなるので、安静に保つという意味では合目的性がある。歩きにくくなるのは、上体前屈のためだけでなく、前屈姿勢を保持するため、下腿三頭筋や前脛骨筋収縮の結果、足関節の底背屈制限状態になるからでもある。
ということは、下腿三頭筋や前脛骨筋の緊張を緩めることが、立位前屈制限の改善につながるという逆パターンもあり得るのではないだろうか。すなわち上体をまっすぐ伸ばせないような急性腰痛には、中封や崑崙を刺激すると上体が伸びるようになるという意味になるのではないか?
なお崑崙と中封の使い勝手の相違点だが、下腿伸筋と屈筋が協調して上体前屈姿勢を保持を行っているわけなので、どちらを取穴するかは圧痛点で調べる以外にないと思う。
3.中封・崑崙刺激の注意
腰部保護スパズムを緩和すると体動時の筋の伸張痛は改善する。しかし脊椎を守るために必要な筋緊張がとれてしまう。患者は「治った」と思って自由に動くと、突然激しい保護スパズムが再来し、今回の痛みは中封刺針でも改善しなくなる。痛みが軽減しても安静を厳守させること。