凍結肩は、肩の炎症の終着点である。そこに至る病型に種々の違いはみられるが、最終的には凍結肩という同一の病態像になる。
1.凍結肩急性期(凍結肩になる第一歩の病態)
上腕骨頭を上方に引っぱる三角筋と首側に引っぱる棘上筋は、協調して上腕を挙上する役割がある。この2筋は加齢とともに退行変性して筋力低下するが、肩腱板(≒棘上筋)の老化が早期に起こるので、相対的に上方牽引力が強くなる。すると上腕外転時に上腕骨大結節は肩峰の下を通過できずにぶつかり、外転90度前後の運動制限を生ずる。
また腱板に生じた腱炎は、すぐ上方にある肩峰下滑液包に炎症を拡大させる。肩峰下滑液包炎が起こると、強い自発痛が出現し、とくに夜間痛を訴える。治療は、徐痛目的で、温熱療法やブロック注射を行うが、鎮痛持続効果はあまりない。
2.凍結肩慢性期(凍結肩になる寸前~凍結肩完成期)
肩峰下滑液包炎は、数ヶ月から1年を経て、徐々に炎症が治まり自然治癒することもあれば、癒着性滑液包炎に進展することもある。炎症が自然消退する過程で、もともとゼリー状だった滑液は、水分が失われて接着剤様になり腱や骨を癒着させ、上腕の運動制限が起こる。炎症が消退すると運動痛もなくなるが、運動制限は持続する。これを癒着性滑液包炎とよぶ。
癒着が滑液包のみにとどまらず、肩関節全体に及べば癒着性関節包炎となり、肩関節拘縮が生ずる。治療は運動療法(コッドマン体操など)
3.凍結肩回復期(凍結肩完成期~自然治癒)
疼痛(-)だが運動制限がある。この運動制限は徐々に自然治癒するが、完全にROM制限が回復するとは限らない。
一度起きた、肩関節拘縮が、なぜ改善するかの理由は分かっていないようである。癒着した状態は治らないという見解があり、関節包が次第に緩むので代償的に肩関節可動域が広がるとする見解もある。