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Channel: AN現代針灸治療
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Ⅰb抑制を応用した膝蓋靱帯炎の治療(40才、女性)

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1.主訴:膝屈伸時の、右膝骸骨下際の痛み

 

2.現病歴
満一才幼児の育児でだっこすることが多い。1ヶ月前頃から 歩行で膝を曲げ伸ばしする際に右膝蓋骨下が痛くなり、整形受診して膝蓋靱帯炎との診断を受けた。X線は正常。治療はロキソニン軟膏と痛みが強い時の頓服用としてロキソニン錠、および右膝関節部のサポーターを処方された。
痛み止めを使って、痛みが止まっても本当の治療にはならないと思い、当院に数年ぶりに来院した。

 

3.所見
内・外膝眼と犢鼻に強い圧痛あり。脛骨粗面の圧痛はあまりない。他に陰包、鵞足にも圧痛を認めた。

 

4.考察
大腿直筋短縮→膝蓋骨上方移動→膝蓋靱帯の牽引ストレス。
膝蓋靱帯炎は犢鼻圧痛(++)により明瞭。脛骨粗面の圧痛(-)なのでオスグッドとはいえない。内・外膝眼は撮痛は伏在神経膝蓋下枝の興奮で、鵞足の撮痛は伏在神経下腿内側枝の反応。陰包は伏在神経内転筋管部の神経絞扼障害の反応点だが、非常に強い圧痛とはいえないので内転筋管症候群とまではいえない。
膝蓋靱帯の圧痛だけでなく、伏在神経痛も絡んでいることを示すものだろう。

いつもなら大腿直筋緊張をゆるめる目的で、仰臥位膝伸展位で伏兎・梁丘・血海に刺針して、膝屈曲の介助自動運動を行わせるところだが、同じことばかりしていても進歩がない。今回はⅠb抑制を使って四頭筋緊張をゆるめる方法を試してみた。
 
まず膝蓋靱帯の両側を術者のr両手の拇趾と示指で指で強くつまんで引っぱり上げる、あるいは術者の指先を膝蓋腱下に潜り込ませるようにする(患者は痛がる)。膝蓋靱帯を上から押圧すると非常に痛がるので止めた方がよい。膝蓋腱をつまんだ状態で、患者に膝の曲げ伸ばしを軽くゆっくりと行わせる(患者はさらに痛がるが我慢させる)。
数回この運動を行って術者の指を離す。そして床を歩かせてみる。今まで痛くてできなかった歩行が、痛みを忘れたように普通に歩けるようになった。

これだけでは治療時間が短すぎるので、内外膝眼・鵞足・陰包などの伏在神経反応点にせんねん灸をして治療を終えた。


5.コメント
 
今回の治療は、大腿直筋の端にある膝蓋腱を引っ張り、身体が腱が断裂してしまうことを回避するため大腿直筋緊張をゆるめるというⅠb抑制の臨床応用て治療した。
 なお膝蓋靱帯をつまんで引っ張り上げるという治療手技は、<重症専門TV>光田昌平氏「オスグッドの原因と治し方」ユーチューブ動画をアレンジした。膝蓋靱帯炎でもオスグッドでも治療は大差ないに思う。

       
        
        
        
        
      


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