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Channel: AN現代針灸治療
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坐骨神経痛以外の大腿後側痛の針灸治療

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 大腿後側部痛で最も多い疾患は、坐骨神経痛によるもので、普通は坐骨神経ブロック点(=中国式環跳そして柳谷素霊の裏環跳)から梨状筋に深刺するというのが定番だろう。しかし中には、坐骨神経痛ではないこともあり、坐骨神経ブロック点刺針で改善しない病態もある。坐骨神経痛以外で大腿後側痛症状をもたらす病態と治療法について整理してみた。


1.後大腿皮神経痛

大腿後側浅層を後大腿皮神経が下行し、皮膚を知覚支配している。その分枝は下殿皮神経となって下殿部を知覚支配している。この後大腿皮神経というのは、仙骨神経叢から発して、坐骨神経の内方1~1.5横指内方を下行している。
浅層を走るので、本神経興奮時には撮痛(+)が出現する。筋支配はないので筋コリは現れない。

後大腿皮神経が絞扼されるのは、梨状筋部と仙結節靭帯である。とくに仙結節靭帯部の圧痛は梨状筋症候群には生じないのでという特徴がある。坐骨神経痛が殿部全体~下肢症状を生ずるのに対し、後大腿皮神経痛は下殿部~大腿後側痛を生ずるという違いがある。とはいえ実際には坐骨神経痛と誤診され、本疾患を見逃している。

治療点は、承扶穴の2寸ほど上方で、仙結節靭帯上に刺針するが、大殿筋やハムストリング筋を伸張させるため仰臥位で股関節を強く屈曲させた肢位にするため、患者に大腿を抱えるようにして腹に近づけるようにするとよい。


  
2.ハムストリンク筋緊張
  
ハムストリング筋の支配神経は坐骨神経だが、本筋緊張症状は電撃様の神経痛ではなく歩行時に大腿後側がつっぱり、痛むようになる。治療目標は、ハムストリンク緊張を緩めることにある。ハムストリングを最大伸張させるには、膝関節をやや屈曲して、強く股関節屈曲させ(すなわち前術した承扶刺 針の肢位と同じ)、この肢位でハムストリン グ筋の圧痛点を発見して単刺(ときに 刺絡)するのがよい。この体位で刺針するには、患側大腿を挙上させ、この肢位を保持するため、左肱部で患者の膝窩を押圧し、術者の両手がフリーにすることが重要である。


3.多裂筋緊張
  
腰椎~仙椎の背部一行深部には多裂筋があり、TPs活性化しやすい。すると脊髄 神経後枝走行に沿って、斜外方45度方向に痛みと撮痛反応が出現する。側臥位にて背部一行から骨にぶつかるまで深刺する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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