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へバーデン結節の針灸治療 Ver.2.1

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筆者は2012年8月12日にブログ「へバーデン結節の針灸治療」を公開したが、内容を刷新すべく2014年7月21日に  「へバーデン結節の針灸治療 Ver2.0」として改訂することにした。それも不十分だったので、今回2019年7月16日さらに「へバーデン結節の針灸治療 Ver2.1」として図を中心に改訂した。。

 

1.ヘバーデン結節の基礎知識の病態  

手指のDIP関節にみる変形性関節症。DIP関節基底部背側中央の伸筋腱付着部を挟んで、2つのコブ(結節性隆起)ができる。骨肥大による変形であり、これをヘバーデン結節と呼ぶ。単発または多発的に出現。閉経との関係が指摘されている。40才以上の女性に多い。語呂:「女は40でへばる(ヘバーデン)」

※ブシャール結節 Bouchard node:手指のPIP関節にみる変形性関節症。 
へバーデン結節ではつまみ動作で多用する示指・中指に多いのに対し、ブシャール結節は握り動作で多用する尺側の指に多くなる。  

※関節リウマチは、PIP関節を侵すことはあっても、DIP関節は侵さない。

 

 

 

2.へバーデン結節の症状と経過

1)初期には一時的にDIP関節が左右対称性に赤く腫脹し、自発痛を伴うことがある。DIP 関節の変形進行(関節の狭小化と軟骨の変性)。やや屈曲する。

2)基本的には運動時痛。骨棘形成によりDIP関節が竹のフシのように太くなる。関節の可動 域制限により、手が十分握れない、手がこわばるなどと訴える。 

3)一定時間(3ヶ月~)経過し、ある程度変形が進んで関節の動きが悪くなると、痛みがなくなる者が多い。著しい機能障害を来すことは少ない。


 

 

3.一般治療
冷えると痛む場合、温水で指を温める。痛みが強いときは、紙テープ(幅20㎜前後)をDIP関節周囲にぐるぐる巻きにして関節の動きを抑えるなどの一般的治療がある。針灸治療は次のようである。


4.針灸治療

鍉針などで関節部圧痛点を見つけ、3~5のゴマ大灸をすることが多い。圧痛点の所在により何が痛みを引き起こしているのか推定できる。

1)DIP関節基部背面の左右に、へバーデン結節が出現するが、その中点に指伸筋腱が走行している。指伸筋腱の末節骨に停止している部の圧痛点に治療点を求める。    




2)上記部以外のDIP関節部の圧痛は、関節包の痛みを考える。関節包は腱筋につながって関節と連動して牽引収縮されるので運動時痛を生ずる。

3)上記圧痛点へは細針にて浅刺置針または糸状球数壮を行う。その際手掌を上にし、DIPとPIPとも屈曲させた状態で行うと、指伸筋腱が緊張するので、効果増大が期待できる。一般に施術直後は減痛できるが、持続効果は一両日なので、自宅施灸を毎日行わせるのがよい。


5.いゆわゆる突き指について

1)概念
へバーデン結節と同じくDIP関節部の痛みだが、病態は異なる。「突き指」とは野球・バレーボール・バスケットボールなどの球技で、ボールを受けそこなった時や転倒して指を突いた時に発生する指周囲の外傷の総称。診断としては、捻挫、槌指(=マレットフィンガー)、側副靱帯損傷などになる。

2)槌指(ついし)の分類
槌指とは腱断裂のことで、DIP関節が屈曲したままで自力では伸展不能の状態である。槌指は慢性になると痛みはなくなるが、DIP関節が屈曲した状態のままである。

 

 

3)突き指の鑑別と針灸治療

応急処置は、捻挫と同様にRICE(安静・冷却・圧迫・高挙)の処置。外観上の異常があれば整形外科に急送。側副靱帯捻挫や指針腱停止部症の場合、指側面の局所に単刺で速効できることが多い。突き指では「指を引っぱるとよい」というのは間違い。


ゴルフ肘の針灸治療

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1.ゴルフ肘の概略

1)病態
ゴルフでボールを打つ際、左肘をのばし手関節を強く背屈・回内するため、手関節を屈曲作用のある前腕屈筋群に共通腱の起始部の上腕骨内側上顆部の腱や骨膜に炎症が起こる。フォアハンドテニス肘と同一の病態。症状は上腕骨内側上顆部の運動時痛。  

 

 

 

2.ゴルフ肘の針灸治療   

①上腕骨内側上顆部(少海穴ではない)つまり肘関節の内側部と、上顆部に付着する前腕屈筋群の筋緊張点に刺し、運動針実施。 ターゲットは意外に小さく、肘の前面ではなく内側にある。内側上顆部の圧痛点は肘を屈曲させた状態で探すとよい。 

②円回内筋緊張に対する治療は、少海・孔最あたりになる。これらの穴から円回内筋に刺針した状態で、ゆっくりと大きな前腕の回外・回内動作を 5~10回行わせることで、円回内筋の過収縮を改善する。      

 

※孔最取穴:前腕前橈側、太淵穴の上7寸、尺沢穴の下3寸腕頭骨筋上。深部に円回内筋がある。    
※少海取穴:肘を半ば屈曲し肘窩横紋の内端で上腕骨内側上顆から橈側へ入ること5分。円回内筋起始部。

 

3)手関節の屈筋を緩めることで、上腕骨内側上顆にかかる筋の牽引力を弱くする。

手根管症候群の針灸治療

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1.手根管症候群の概要   

手根管とは、手根骨と屈筋支帯(旧称は横手根靱帯)の間隙をいう。ここを縦走する正中神経が圧迫刺激され、圧迫部から末梢の正中神経麻痺が生じた状態。透析患者、閉経前後と妊娠・出産を機に多発する。

正中神経麻痺は、高位麻痺と低位麻痺(肘から遠位での神経絞扼障害)があり低位麻痺がほとんどである。低位麻痺の代表疾患が手根管症候群になる。円回内筋症候群も正中神経低位麻痺になるがレな疾患。

※透析アミロイドーシス:透析中、手がしびれると訴える。ある種の線維状のタンパク質が屈筋支帯に沈着し正中神経を圧迫。

 

2.手根管症候群の症状・理学検査

1)ファーレンテスト Phalen test     
手首を強く屈曲(掌屈)させる際の痛み。

 

2)正中神経低位麻痺症状

走行部(小指以外の指端)の痛みと異常知覚(ピリピリ、ジンジン)。母指対立筋の筋力低下、短母指外転筋の筋力低下、母指球萎縮。     

 

 

 

3.手根管症候群の鍼灸治療  

手掌中央で、第3第4指屈筋腱の間に労宮穴をとる。労宮と手関節掌側横紋の中央 (=大陵穴)を三等分し、大陵に近い側の 1/3を「労宮移動穴」と定める。労宮移動穴から直刺すると、手掌腱膜→手根管(内部に正中神経と長・短手根屈筋腱)→虫様筋に入る。


この治療の直後は手のしびれは若干改善するのが普通だが、症状は間もなく元に戻りやすい。 局所治療に併せて腕神経叢や斜角筋を刺激することも行われるが、針灸が有効か否かは不明。手根管症候群の病理は屈筋支帯による手根管の圧迫にあり、筋々膜刺激ではどうにもならないのかもしれない。

 

 

4.虫様筋と掌側・背側骨間筋

深指屈筋腱の腱間には虫様筋がある。虫様筋、トランプを扇状に広げて持つ、ボルダリング(人工壁の岩登り)をする、ピアノを弾くなどでMP関節屈曲作用がある。 なお背側・掌側骨間筋を針刺激する場合、手背から刺針する方が適している。骨間筋は手指の開扇・閉扇作用である。

 

 

 

バネ指の針灸治療 Ver.3.2

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本原稿は約3年前に発表した「バネ指の針灸治療」を全面的に改定したものである。

1.手の指の腱・腱鞘・靭帯の構造 

指に向かう深指屈筋腱と浅指屈筋腱は、運動量が大きく力も強大なので、他の組織との摩擦を 防ぎ、滑りをよくするため、遠位中手骨から指先までを腱鞘で覆われている。 さらに指の掌側には、腱の浮き上がり防止のため、滑車装置である輪状靱帯(靱帯性腱鞘)が   腱鞘を補強している。輪状靱帯は、示指~小指それぞれに5カ所(母指は2カ所)ある。

バネ指の原因として最も多いのがA1輪状靱帯による  もので、次いでA2輪状靱帯に多い。A3~A5輪状靱帯とC十字靱帯はバネ指を起こさない。



 

 3.バネ指の概要

1)病態生理  

指の屈曲動作は前腕部の指屈筋が収縮し、その筋から指の末節骨・中節骨に停止した腱が体幹側に引っ張られることで行われる。この腱と靱帯への機械的刺激が過度になっても、通常は一晩休めば炎症は鎮まる。しかし自然修復できる限度を超えた刺激が繰り返されれば、徐々に輪状靱帯は肥厚し、腱を締めつけるまでになる(これが狭窄性腱鞘炎状態)。    輪状靱帯に腱が繰り返し衝突することで腱の一部にシワが寄り、シワは次第に大きくなって結節に発展する。


2)分類・症状・所見  

<第1期>    
MP関節の手掌側に痛みや圧痛があり、指の運動時痛がある。バネ現象はなく関節の動きも正常。日常生活にほとんど支障がない。このまま自然治癒することもある。治療は安静。  


<第2期>     
腱鞘内への注射(局所にステロイド+局所麻酔剤)をした直後は効果を実感しないが、数週間でじんわりと効いてくる。この効果は9割の者が実感できるが、やがては元にもどることも多い。腱への注射は腱を傷つけることでになるので、2ヶ月に1回計2~3回注射して、それでも元にもどる場合は手術に踏み切る。   

①バネ現象陽性
指が一定の角度に達すると、自動運動が障害され、これを自動的・他動的に強制屈曲させる時には、弾撥性に屈曲する。かろうじて指は屈伸できるが、曲げた指がスムースに伸びない現象。重度バネ指でなければ、無理に伸展させると、轢音を発し、完全伸展可能。   

②モーニングアタック出現
夜間就寝中に、無意識に指を屈曲するせいか起床後に指を再伸展させる際に強く痛む。   

③MP関節掌側部の圧痛・運動痛。腫瘤を触知  

 

<第3期>       
関節拘縮状態。 バネ現象は消失するが、指の完全屈伸はできなくなる。日常生活で非常に支障をきたす。A1輪状靱帯の開放手術以外に方法がない。        重症の場合、A1切開とともにA2手掌側の下半分を切開することもある。A1とA2両方を完全切開することは、指屈曲時に腱が浮き上がってくるので実施できない。

 

 

2.代田文誌先生の運動療法
 
代田先生は、得意とする針灸が非常に多い方だったが、バネ指を苦手とし、独自に考えた運動療法を行っていた。成書よりその方法を転記する。「障害指の屈筋を中心に、患者の手首を術者の片手で固く握りしめ、その状態で患者に全力で指を十回~数十回屈伸するよう命じる。すると今まで自力では屈伸できなかった指が、突然自力で屈伸できるようになる」

記方法を筆者は追試してみた。確かに効果はあるが満足する程度ではないこと。またやはり針での治療法を知りたいと思っていた。
 
以下は筆者の考えた方法である。代田文誌先生の運動療法よりも効果的であるようだ。 


3.バネ指の針治療
 
バネ指にも軽症と重症がある。対する鍼灸の治療効果は、当然のことであるが、軽症の方に適応がある。具体的には他指で補助することなく、屈曲した指の再伸展できる者に効果的である。

1)母指バネ指の針灸
    
母指バネ指の症状は、母指IP関節の屈曲時にポキッとして自動的に折れ曲がる現象と、屈曲状態にあるIP関節を伸展した際のポキッとした自動伸展現象(重症の場合、自力では再伸展不能)となることである。
    
母指バネ指では、長母指屈筋腱上に結節ができる。長母指屈筋の走行は、は前腕骨間膜を起始とし、母指末節骨に停止している。仮にこの筋の筋トーヌスも筋長も生理的範囲内であれば、腱に加わる伸張力は弱くなり、再伸展の際に結節が存在したとしても、輪状靱帯にぶつからなくてすむのではないだろうかと考えてみることにした。
     
具体的には、前腕屈筋側中央に郄門をとり、同じ高さの肺経上に治療点を定める。そこから長母指屈筋に向けて斜し、母指屈筋の運動針を指示する。長母指屈筋中に刺入できていれば、母指の動きと同期して針柄が上下に動くことを観察できる。


   

2)第2~第5指バネ指の針灸
    
親指以外の4本指でDIP関節屈曲は深指屈筋、PIP関節屈曲は浅指屈筋、MP関節屈曲は虫様筋というように役割分担されていて、比較的大きな物を握る時は深指屈筋が働き、握力計や比較的握りやすい物を握る時は浅指屈筋が働き、握りしめたり細い物を握る時は虫様筋が主に働く。ただし実際には独立して働く事はほとんど無く互いに協調して握力を生み出す。



バネ指は、浅・深指屈筋腱にできた結節が、腱共通の輪状靱帯を通過できなくなった状態である。もし浅・深指屈筋が弛緩・伸張した状態では結節が腱鞘に入らなくても指伸展が可能となると考え、前腕屈筋側中央に心包経の郄門をとり、その高さの心経ルート上を刺入点とし、浅指屈筋または深刺屈筋中に至る斜刺を行ない、置針した状態で、母指を除く4指の屈伸運動を行わせる。深指屈筋中に刺入できていれば、母指の動きと同期して針柄が上下に動くことを観察できる。(臨床上、浅指屈筋中に刺入  しても治療効果はあがる)
 

3)注射針、そして小針刀による輪状靱帯切開術法
   
かつて注射針を使ってばね指手術(局所麻酔注射後、腫瘤部に注射針をか刺して、鍼先を小刻みに動かすことで小分けして輪状靱帯を切断する)も行われていたという。この技法は、屈筋腱損傷などの合併症が報告されていて、現在では医療施設ではあまり行われない。ただし中国では小鍼刀(鍼先がマイナスドライバーのようになっている鍼)が考案され、輪状靱帯を突っついて押し切るばね指治療も行われている。エコー装置を使えば針先と腱鞘の位置関係が確認できる。

要するに無麻酔で輪状靱帯切開を行うことになるが、エコーだけで必要十分な切開ができるかは疑問である。また無麻酔で施術するので、患者は苦痛だろう。本法がわが国の鍼灸術の範疇に入るか否かは難しいところである。

 

 

 

腕神経叢刺針部位の検討 Ver1.1

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上肢に神経痛様の痛みがある場合、腕神経叢の興奮を疑い、腕神経叢への刺針を行うことになる。これには腕神経叢直接刺激と、前斜角筋に刺針して間接的に腕神経叢に影響を与える方法がある。これらの刺激と、よく似たものが現代医学的にも、いくつか知られているので、比較検討してみた。 

1.腕神経叢ブロック鎖骨上法
神経ブロックでは、腕神経叢ブロック鎖骨上法が、針灸で行う腕神経叢刺に類似のものであろう。鎖骨左右中の中点、上下の骨幅の中点から上方1.5㎝から刺入するもので、腕神経叢を直接刺激する。本法は直下に肺尖があるので、深刺することはできないという意味で危険性がある。

2.モーレー点
腕神経叢ブロック鎖骨上法の部位より、わずかに内側にあるのはモーレー点であり、鎖骨上縁の前斜角筋部を直接圧迫するものである。モーレー点に圧痛や上肢への放散痛がある場合、(前)斜角筋症候群との診断になる。モーレー点を直刺すると、前斜角筋に命中するので同筋の緊張緩和に有効だが、腕神経叢ブロック鎖骨上法と同じく、深刺すると気胸を生ずる危険性がある。

3.エルブ点
 モーレー点の、少し上方にはエルブ点がある。頚部が伸展され,肩甲部が下方に牽引されると、上位型麻痺(C5C6神経=エルブ麻痺)が起こり、上肢が挙上位のまま牽引されると下位型麻痺(=クルンプケ)麻痺となる。エルブ麻痺は分娩時に新生児の肩が産道にぶつかって生じやすいので、とくに分娩麻痺との別称をもつ。なおオートバイ事故など強大な外力が加わると全型麻痺となる。エルブ麻痺では、手首から先は動くが肩や肘が動かない。C5神経麻痺では肩の挙上困難(三角筋麻痺)、C6神経麻痺では前腕屈曲困難(上腕二頭筋麻痺)を生じるためである。エルブ麻痺などの頸神経損傷は、強い力が短時間に加わった結果、すなわち急性症という特徴がある。 
 エルブ点は、仰臥位、治療側の反対に顔を向かせる。鎖骨内側1/3で、鎖骨上縁から3㎝上方の頸側にある。

 

4.木下晴都の扶突傍神経刺
 
木下晴都は、前・中斜角筋の痙縮による腕神経叢や鎖骨下動脈の絞扼に対し、扶突傍神経刺を考案し、扶突傍神経刺と称した。腕神経叢を直接刺激するには、もっと下位頸椎レベルから刺入する必要があるが、腕神経叢を直接刺激せず、前・中斜角筋には刺入できるので、筋を弛めることで神経絞扼障害を改善するという、傍神経刺の原則にのっとったもであろう。
下図(着色は似田による)は木下の「最新鍼灸治療学」に載っているものである。この図では扶突の高さをC6棘突起と説明しているように見えて疑問に思っていたが、木下の講義を受けた方(現在鍼灸学校教員)がいうには、「点線は水平線ではなく、針の方向を示している」との説明を受けたとのご指摘を頂戴した。斜角筋緊張を緩める目的で、扶突からC6棘突起を狙って刺針する。

5.天鼎の位置(日本式と中国式)
腕神経叢刺を行う経穴といえば中国式天鼎を思い浮かべるのだが、日本製天鼎と比較してみたい。 
1)日本式天鼎
東洋療法学校協会の経穴教科書の天鼎は、「喉頭隆起の高さで胸鎖乳突筋前縁に扶突をとり、扶突の高さで胸鎖乳突筋後縁にそって下方1寸の部」としている。喉頭隆起の高さは、C4,C5棘突起(仰臥位時でマクラを使用しない時)なので、天鼎の高さはC5,6棘突起ぐらいになってしまう。腕神経叢を刺激するのであれば、高すぎる部位である。
2)中国式天鼎
甲状軟骨と胸鎖関節の中点の高さで、胸鎖乳突筋後縁から下方1寸にとる。だいたいエルブ点より2㎝下方(エルブ点とクルンプケ点の中点あたり)になると思う。

6.中国式天鼎への刺針法(実際に筆者がやっている方法)
筆者が腕神経叢刺針を行う場合、中国式天鼎あたりを使用している。ただし上記の取穴法では、解剖学的位置関係が不明なので、この方法をとっていない。胸に刺すのではなく、頸筋に刺すという気持ちで行うことが大切で、これが気胸事故の回避になる。中国式天鼎あたりに1~2㎝以上刺入すると、上肢に電撃様針響が得られる。通常は仰臥位で行うが、響かせにくい場合には、側臥位で行うと、さらに響きを得やすくなる。
とりあえず筆者の普段やっている腕神経叢刺の方法を示す。

1)治療側上の側臥位にさせる。肩甲上部と頸部の境にあたる部の高さから、左手母指を伸ばす。
2)左手母指IP関節のつくる掌側横紋を下部頸椎横突起位置に固定する。
3)母指頭を固定し、母指IP関節を屈曲させつつ、母指頭を徐々に皮膚面に対して直角にもっていく。
4)母指頭を針にみたて、針を刺すつもりで、皮膚面を軽く押圧する。
5)上肢への放散痛が得られることを確認し、寸6で#2以上の太さの針で直刺し、上肢への放散痛を得る。そのまま5~10分間置針する。

 

 

 

 

 

現代鍼灸実技講習会

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昨年10月から開催し、好評だった<奮起の会>を再び開催します。内容は昨年とほぼ同じで、鍼灸に来院することの多い関節と脊柱疾患で、6回シリーズでとりあげ、実技指導します。募集人数12名に対し、針灸院開業中のベテラン指導員3~4名程度という充実の指導体制が最大の特徴で、私がこの四十年間で身につけた実戦的鍼灸技法を学習していただきます。
毎回、カラーテキスト進呈。指導員は、似田敦(あんご針灸院)、小宮猛史(鍼灸潤天堂)、小野寺文人(稲穂鍼灸院接骨院)、吉村英(吉村はりきゅう院)

日時:毎月 第1と第3日曜日、午後6時時~8時過ぎ
会場:国立市中1丁目集会場
参加資格:鍼灸師、および鍼灸学生
講習料:1回6000円(学生1回5000円)、見学者1回3000円です。(当日お支払い)
募集人数:12名以内  定員になり次第、受付を締め切ります。
申込み込〆切日:初回は9月30日。以降開催予定日の1週間前。

応募方法   <あんご鍼灸院>まで電話またはメールで以下の事項をお知らせください。
御名前、住所、電話番号、受講希望日 
〒186-0004 東京都国立市中1-11-26   電話 042(576)4418  
メール nitadakai825@jcom.zaq.ne.jp      
(あんご鍼灸院ホームページからでも入れます)

  

日程

第1回 10月6日 腰背痛の針灸治療
①撮診の技術  ②側腹位での背部一行刺鍼(仙椎部含む)   ③立位での背部一行刺針(仙椎部含む)  ④力鍼穴からの大腰筋刺鍼と腰方形筋刺鍼  

第2回 10月20日  腰下肢痛の針灸治療①  
①梨状筋刺鍼(坐骨神経ブロック点刺鍼)  ②横座り位での中殿筋と小殿筋刺鍼   ③陰部神経刺鍼  ④内閉鎖筋刺鍼

第3回 11月3日 腰下肢症状の針灸治療②
①鼠径部の触診と刺針   ②仙腸関節運動鍼  ③大腿前面に対する居髎刺針   ④股関節マニプレーション

第4回11月17日 膝痛の針灸治療 
①仰臥位膝屈曲位での鶴頂(大腿直筋停止部)刺鍼  ②鵞足浅刺  ③患側下にしての陰包刺針と内膝蓋刺針   ④膝立位での膝窩筋(委中)刺鍼  ⑤立位膝伸展位での膝蓋骨周囲刺鍼

第5回12月1日 頸々腕痛の鍼灸治療  
①後頭下筋天刺針の体位と技法   ②頭板状筋刺針の体位と技法   ③頭半棘筋刺針の体位と技法、④頸部回旋筋刺針の体位と技法、⑤斜角筋刺針と腕神経叢刺針の技法、⑥小胸筋症候群に対する上中府穴刺針   ⑦坐位での肩中兪深刺(腕神経叢刺激+星状神経節刺激)

第6回 12月15日 肩関節痛の針灸治療  
①棘上筋腱炎に対する肩井から棘上筋腱に達する斜刺   ②棘上筋腱炎に対する肩髃・肩髎から棘上筋腱への水平刺と刺針体位   ③肩甲胸郭関節可動筋に対する大円筋(肩貞)刺針および肩甲下筋(膏肓)水平刺   ④棘下筋TPs放散痛に対する天宗刺針と刺針体位   ⑤凍結肩に対する伝統的整骨手技と肩関節のリズミックスタビリゼーション  

常習性便秘の鍼灸治療の考察

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1.睡眠時の大蠕動とおなら

(NHK「ためしてガッテン」<出た!「便秘」新対策で劇的改善SP 2016.9.14より) 睡眠中は副交感神経優位になっているので、通常の蠕動運動は活発になる。大腸の大蠕動は睡眠中だけに起こる。大蠕動により腸管のガス(食べ物を分解する時に出るメタンガスや水素ガス)はおならとして体外に出される。腸管ガスが多い状態では、と蠕動運動を妨げ、大腸内の糞塊は下行移動しづらり、便秘しやすい。 すなわち一般的に日中よりも夜間就寝中の方がおならの回数は多くなることが生理的である。

1)蠕動が起こらない原因
①熟睡できていないので、副交感神経優位になっていない。夜中にすぐに目覚めるなどと訴える。
②腸内ガスが多量にあって、大蠕動を邪魔している。

2)対策法<うつぶせゴロゴロポーズ> 以下の方法で、常習性便秘ものの8割に効果があった。
① 座布団やクッションをお腹(おへそ周辺を目安)に当てて伏臥位になって10分間寝る。就寝前に行うのがよい。大腸のガスは空気よりも軽いので、出口である直腸の方に向かいやすい。うつ 伏せで寝転がるということは大腸部分よりも肛門のほうが位置が上になる。
②10分経ったら、体を左右に転がすように傾ける動きをゆっくりと5往復行う。 

 

2.排便反射の消失と常習性便秘  

蠕動を活発にするには、胃結腸反射を使用することなので、朝食をとることが推奨できる。すなわち胃に食べ物が入って蠕動運動が起こると。同時に結腸も蠕動運動が起こることを利用する。 健常者では、S状結腸内の糞便が直腸に移行し、糞便が直腸壁を伸展すると、その刺激が骨盤神経の知覚線維を求心路として仙髄の中枢へ伝達され、さらに上位の中枢(延髄)へ刺激が到達して便意を意識する。

しかし状況が困難で排便を我慢をすると、排便抑制の刺激が骨盤神経、陰部神経に伝わり、内肛門括約筋、外肛門括約筋を緊張させ便意は消失する。

 

3.緒家の大腸と内臓刺   

大腸は上行結腸~下行結腸までは交感神経が主導権を握り、その反応は背部に現れるというのが内臓体壁反射の理論であり、腎兪・志室・大腸兪・腰宜(ようぎ=別称、便通穴)などを刺激するのが定石になる。一方、S状結腸~直腸は副交感神経である骨盤神経に主導権があるので、理論的には八髎穴刺 激を行うことになるが、実際にはさほど効果がない。もともと大腸のS状結腸以下は内臓 体壁反射が乏しい部分である。そこで郡山七二は内臓直刺を考案した。 予期せぬ事故を防ぐため、内臓刺は行うべきではないが、現代の鍼灸成書を調べる限り、大腸刺激は許容されているようである。


4.腹部からの内臓刺

1)秘結穴(左腹結移動穴)(木下晴都『最新針灸治療学』医道の日本社)     

一般的な左腹結部位(臍の外方3.5寸に大横をとり、その下方1.3寸)では効果が期待されない。仰臥位、左上前腸骨棘の前内縁中央から右方へ3㎝で脾経上を取穴する。3~4㎝速刺速抜する。この刺針は、鍼先が腹膜に触れるため、約2㎝は静かに入れて、その後は急速に刺入し、目的の深さに達した途端に抜き取る。


2)左府舎(森秀太郎『はり入門』医道の日本社)        

教科書的な府舎の位置は、恥骨上縁から上1寸の前正中線上に中極をとり、その外方4寸で、鼠径溝の中央から一寸上を取穴する。便秘症の人の腹部を按圧すると、左腸骨窩部   に糞塊を触知する。その塊が府舎穴の位置になる。寸6の6番の針で、やや内方に向けて10~30㎜ほど刺入すると、下腹部から肛門に響きを得る(S状結腸刺針)


3)天枢深刺(森秀太郎「はり入門」医道の日本社)   

森秀太郎が最も重視しているのが天枢への雀啄針であった。森氏の天枢刺針は、臍の外方1.5寸にとっている(教科書的には臍の外方2寸)。15~30㎜直刺し、腹腔内に針先を入れ、腹腔内刺入を目標としている。 中国の文献では、天枢から深刺し、下腹から下肢へ引きつれるような針響を得て、初めて効果が出ると説明しているものもある。


4)四満移動穴(柳谷素霊「秘法一本鍼伝書」医道の日本社)      

教科書の四満は、臍下2寸に石門をとり、その外方5分である。柳谷素霊の四満は、臍下2寸に石門をとり、その左外方1寸の部をとる。実証者の便秘には、2~3寸#3で直刺、2寸以上刺入して、上下に針を動かす。この時、患者の拳を握らせ、両足に力を入れしめ、息を吸って止め、下腹に力を入れさせる。肛門に響けば直ちに息を吐かせ、抜針する。 虚証者の便秘には、寸6、#2で直刺深刺。針を弾振させて、肛門に響かせる。この時患者は口を開かせ、両手を開き、全身の力を抜き、平静ならしめる。いずれも肛門に響かないと効果もないと考えてよい。


5.腰部からの内臓刺

1)左肓門外方(郡山七二『鍼灸臨床治法録』)    

志室の上1.5寸。L1棘突起下外側8㎝の部。下行結腸刺激。脊柱の方に向けて圧すると広背筋、外腹斜筋を触知できる。その筋群を直刺する方向と角度で4㎝刺入し、強刺激する。「これだけで必ずといってよいほど通じがある」と記している。  
※横行結腸は腹直筋の直下で比較的浅層に位置しているのに対し、下降結腸は左下腹部の小腸の奥にある。 下行結腸に刺入しようとすれば、郡山七二のように、横腹から刺入する方がよい。 

2)便通穴(=腰宜(ようぎ))    

便通穴とは木下晴都が命名、腰宜穴に相当する。L4棘突起下外方3寸。腰方形筋の外で、腸骨稜縁の直上を取穴。やや内下方に向けて3㎝刺入。森秀太郎著「はり入門」では、「深さ50㎜で下腹部に響きを得る」とある。

 

 


6.大・小腸内臓刺の私の意見

天枢から深刺すれば、針は腹直筋→腹膜→小腸と入っていく。 天枢や四満の直下には、小腸があると考えるのが普通だが、S状結腸かもしれない。というのは上行結腸や下行結腸が後腹膜で固定されているのに対し、横行結腸とS状結腸は、ある程度可動性がある。下行結腸の長さが20㎝なのに対し、S状結腸は30㎝ほどなので、我々が見なれている解剖図の印象とは異なり、実際にS状結腸の位置や蛇行状況はは人によって異なる。    

天枢や四満移動穴からの深刺で、なぜ針響が下腹部に送ることができるのかは不明だが、肛門に響かせることが効果を生む秘訣らしい。とはいっても肛門に響かせるといえば陰部神経刺針を思いつくが、私の経験では腹部からの刺針では肛門に響く以前に生殖器に響くのが普通である。腰部からの刺針でも意図的に肛門に響かせることは可能なのか、よくわからない。


7.便秘に対する筋筋膜刺

腸周囲の筋々膜緊張あるいは癒着が腸管の通過障害を起こしているとの考え方があり、腸骨筋や内閉鎖筋の緊張が問題視され始めた。

1)腸骨筋刺針としての左府舎刺針

    

左府舎からの直刺は下行結腸またはその外方にある腸骨筋に入る。腸骨筋は大腰筋の影にかくれて一見目立たない筋だが、骨盤内で広い体積を占めている。
腸骨筋が股関節に癒着して鼠径部痛を起こすことが知られている。鼠径部外端から内方1/3の部から刺針することは、この部に糞塊を触知できる弛緩性便秘の治療に使えると主張する者がいる。   

   

上図は右下腹部で盲腸が腸骨筋と癒着していることを占めすが、本図から左腸骨筋緊張や癒着がS状結腸の通過障害をもたらすことがあると予想した。

 

2)内閉鎖筋刺針としての陰部神経刺針   

骨盤の閉鎖孔を内側から塞いでいるのが内閉鎖筋である。内閉鎖筋が緊張すれば、陰部神経や陰部動脈を圧迫して泌尿器科症状を生ずることがある。また左内閉鎖筋緊張すれば、S状結腸を圧迫することで便秘になることも指摘されている。左内閉鎖筋への刺針とは、左陰部神経刺針に他ならない。 陰部神経刺針は、陰部神経への刺激かつ内閉鎖筋への刺激になる。       

側腹位。3寸鍼を使用。上後腸骨棘と座骨結節を結んだ中点から、一横指下方を刺入点と定め、閉鎖孔(上写真の緑部分)に向けて深刺することが内閉鎖筋刺針になる。

 

上図は右下腹部で盲腸が内閉鎖筋と癒着していることを占めすが、本図から左内閉鎖筋緊張や癒着がS状結腸の通過障害をもたらすことがあると予想した。

 

 

  

 

 

 

 

     

 

 

 

膝痛以外の膝症状への対処

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膝関節痛で最も多い症状は膝痛であるが、膝痛と同時に「膝に水が溜まっている」「膝が腫れるている」といった訴えも少なくない。それらの対処法について整理する。

1.関節の熱感・腫脹

1)病理   
関節の軟骨が摩耗し、軟骨の破片が関節液中を浮遊。それが関節滑膜を刺激して関節内に炎症を起こして熱感・腫脹を起こす。この反応で知覚神経を刺激すれば膝関節痛も起こる。  

2)針灸の是非と方法  
熱感が強い時、針灸を行うと炎症が悪化しやすい。今から1~2週間後に熱感が落ち着いた後に治療する旨を患者に伝達。 治療にはチクッとした灸熱が適するのであって、熱量を多量に与えるせんねん灸は不適。糸状灸~ゴマ大灸を腫脹しいるエリアに広範囲に5~6点施灸する。 自宅施灸するのがよいが、近年自宅施灸不可とする患者が多くなってしまった。


2.関節水腫

1)病理       
関節液(=関節滑液)は関節滑膜が血液を材料として製造し、関節の栄養と潤滑油として機能し関節滑膜から吸収され常に一定量を保持している。 しかし関節軟骨の摩耗スピードが速いと関節軟骨の辷りが悪くなり、その代償的に滑液分泌量がふやして滑りを維持しようとする。関節軟骨片も関節液中に浮遊し、これが関節包を刺激する。  


2)関節水腫の理学検査

①膝蓋跳動作テスト    
水腫があれば膝蓋骨は大腿骨から浮いている。膝蓋骨を叩くと、大腿骨にぶつかるので、コツコツと音がするものを(+)とする。本テスト(-)では水腫ではなく、関節包の肥厚を示唆する。

  

②膝蓋骨圧迫テスト        
膝蓋骨を圧迫しながら、上下左右に動かした際、正常であればスムーズに動くのだが、関節面が変形してるいると膝蓋骨底の捻髪感(ザラツキ感)を感じる。これをもって大腿-膝蓋関節の変形(または膝蓋骨軟骨化症)を考える。  膝蓋骨圧迫テストで捻髪感を感じたら、被験者は痛みを感じることも少なくない。この痛みの正体は大腿四頭筋の筋腱付着部症と考えられているので、鶴頂など膝蓋骨の大腿四頭筋停止部に刺針して有効である。

    

3)関節水腫の治療

基本的にまずは安静・固定・圧迫・冷却・挙上、膝圧迫包帯(または膝圧迫サポーター)。整形で関節から関節液を抜いてもらうと、治療直後は良好だが、数日後には関節水腫状態に戻ってしまうことが多い。 結局炎症があるから、水が溜まるのであって、炎症を鎮めないことには水腫は治らない。軽度の関節水腫は針灸治療の対象となり、とくに水腫部を中心に直接灸することで次第に水は消退していくが、それには長期間かかる。 
代田文彦は、水腫には灸が有効だが長期間かかるので、まず整形で水を抜いてもらい、その直後から灸をすると、水が溜まりにくくなると語った。灸治療により水腫の再発を防ぐことを狙う。


陳久性胸椎椎間関節症の針灸治療効果持続に40分間置針が有効な例

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2016年6月.1日に「椎間関節症には針が一番」との表題でブログを発表した。その病態生理は、胸椎微小捻挫→脊髄神経後枝興奮→後枝支配筋(とくに長・回旋筋)の緊張→放散痛として微小捻挫部から斜下方への痛みというものであった。その針治療の機序は、後枝支配筋(とくに脊椎傍筋)の緊張部(棘突起から外方5分にある胸椎一行)に刺針することで筋緊張緩和させ、それが後枝痛を緩和させるという考察であった。

では実際の症例に対して胸椎一行は本当に効果があるのだろうか。現在、千人以上の患者に施術してみた結果になるが、次のような印象になっている。

1.急性~亜急性 (発症後数日~数週間)に対して

1)急性の椎間関節症には、強力な効果が発揮できる。
  
背腰部を訴える患者で、胸椎一行に圧痛があれば、そこに患側上の側臥位で深刺し5~10分間置針すると有効である。
背腰部の患者の訴える症状部位から、斜め上方45~60度方向で圧ある胸椎一行を治療点に定める。体位は患側上にした側臥位。また深刺とは、針先が椎弓根の骨膜に達するまで、または2㎝以上刺入して硬くなった筋に刺入する場合である。発症後数日~数週間程度の症状に対しては、1回~数回で略治に至る。

2)プラスアルファの治療
  
上述治療後、ベッドから下りて上体を前屈したり上体を左右に回旋させることを指示し、現時点での痛みの具合を問うと、楽になったとはいうが、まだ痛むと訴えるのが普通である。痛みの出現するポーズをさせ、どこが痛むのかを指頭で触ってもらった部に新たに刺針したり、あるいは先に行った胸椎一行の圧点に再度刺針すると症状がもう一段階改善させることができる。
私は1)2)をも行うことで1回の治療としている。


2.慢性~陳久性 (発症半年から数年)に対して

1)慢性の椎間関節症には、一時的効果が得られるのみ

以前、私は「椎間関節症には針が一番」と題してブログを発表したこともあって、数年来何をやっても治らないという慢性・難治性のものを扱うことも多くなった。それもかなり遠方から来院する患者も少なくなかった。
急性の時と同じ治療を行い、側臥位で5~10分間の置針。反対側側臥位で同様治療点に治療で5~10分間の置針を実施。これで患者の多くはこれまでの治療で経験したことのない症状改善を実感できて、次回の予約をとって喜んで治療室を後にするのが普通だった。確かに最初の数回治療は、その効果に満足させることができるようだったが、やがて治療持続時間が数十分~半日と短いことに患者が気づき、間もなく来院しなくなるケースも少なくなかった。

2)治療持続効果を伸ばす40分間置針
 
治療直後の鎮痛効果をのばすために、当方でもいろいろ工夫したが、その努力も実りのないものだった。針に低周波通電をしてもみたが、治療効果が増すことはなかった。
胸椎一行刺針の使用針を2寸#4から2寸#8に変更すると治療直後の治療効果は増大したが鎮痛持続時間は延びることはなかった。
 
たまたま浅野周氏が、「木下晴都氏は著書『坐骨神経痛の針灸』の中で、筋をゆるませるための置針時間は、20分やっても15分置針と同等の治療効果だったので、効率的には15分置針か最適だと記していたが、本当に緩ませるには40分置針が必要だ」と主張していることを思いだし、置針時間を延長することにした。
 
なお私はこれまで背部一行では患側上にした側臥位で背部一行に刺針しているので、両側治療するには反対の側臥位にしてもう一度背部一行に刺針することにしていたが、40分置針するには左右側臥位で40分ずつの置針では治療時間が長すぎるので、腹臥位で行ってみた。なお仰臥位40分ならばともかく、腹臥位40分というのは、患者にとって我慢の限界であって、途中針を半分程度ぬいて座位や立位で上体の運動を行わせる必要もあった。また置針した針は
 
最近来院した37歳男性の患者では、左右側臥での胸椎一行置針(#8針使用)で各10分置針では、治療後30分ほどで痛みが元に戻ったのに対し、腹臥位40分に変更してから治療後4時間の持続効果を維持できるようになった。

後頸痛を訴える頸椎の高度前屈患者に対し、胸半棘筋刺針が効果あった症例(85歳、女性)Ver.1.2

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1.現病歴

この30年来、たまに当院に来院する方で、今回は1年ぶりに来院となった。 数年前から加齢による円背が進行したせいか背痛を訴えていたが、今回は顔が下に向いた状態で来院。無理すれば一時的には前方を見ることはできるが、疲れるので普段は下を向いたまま生活しているという。坐位で診ると、隆椎よりも後頭部の高さの方が低い。変形性頸椎症があるのは明白である。整形で頸椎X線はとったが、本人に病態の説明はなされていない。頸椎のソフトカラーを巻くように指示されたが、楽な感じはしないとのこと。


2.初期の治療

前回来院後1年で、これほど頸椎が変形していることにまずは驚いた。このような高度な変形性頸椎症で、鍼灸治療が効くかどうか自信がなかったが、後頸部周囲筋を緩めれば、自覚的には少しは楽になるのではないかと思い、風池・上天柱・後頸部一行・肩井などに2寸#4で軽い雀啄をしてみたが、頸は楽にならないとのことだった。 まあ1回の治療では不十分なので、2~3回同じような治療をしてみたが、症状にあまり改善はみられなかった。


3.中背部頭半棘筋に対する刺針に変えて有効

これまで坐位で頸椎~上背にかけての背部一行刺針をしてきたが効果がないので、中~下部胸椎の高さの背部一行まで施術範囲を拡大してみた。すると今回の治療はよく効いて、頸が楽になったとの返事が得られた。ただし頸が下を向いた状態に変化はみられていない。


4.頸椎~胸椎の固有背筋の構成 

頸の動きは、後頭骨-C2椎体とC2-Th7椎体に分けると機能を理解しやすい。起始・停止が後正中あたりにあるものは、前後屈の作用となる。起始が後正中付近、停止が後正中から離れた部になれ回旋作用があることを意味する。

1)後頭骨-C2椎体  → 頭蓋骨の動き(頭蓋骨の屈伸・左右回旋)

①下顎を引く・突き出す‥‥C0/C1椎体間の屈伸(後頭下筋群の伸縮)               
主治療点:上天柱刺針

②頭を左右に回す‥‥‥‥‥C1/C2椎体間の回旋(頭板状筋の伸縮)                            
主治療点:下風池刺針

2)C2-Th7椎体 →頸部の動き(屈伸・左右回旋)

①頸部の前・後屈‥‥‥‥‥主にC0~Th1椎体間の屈伸(頭・頸・胸半棘筋の伸縮)                              
主治療点:C1~Th1一行刺針

②頸を左右に回す‥‥‥‥‥主にC3/Th1椎体間の回旋(頸板状筋の伸縮)                            
主治療点:C3~Th1二行刺針

 

 

5.半棘筋について

頸椎から胸椎に縦走している筋には、<頭・頸・胸半棘筋><長・短回旋筋><頭・頸板状筋>の3種がある。<頭・頸板状筋>は頸椎と胸椎の左右回旋で働く筋であり、<長・短回旋筋>は頸胸椎のアラインメントを整えたり、回旋しすぎないようブレーキをかける筋である。そして<頭・頸・胸半棘筋>は筋断面積も大きく、頸椎~胸椎の重量を支えるとともに前後屈動作を主導する筋である。

ゆえによくみられる後頸痛の患者には、頸椎一行だけでなく上背一行に刺針すると効果が出るのが普通なのだが、本症例のような高度な頸椎前屈している者にとっては、力のモーメントを効率的に作用させるには胸半棘筋の下端あたりの方が治療点として適切であることを知った。 なお本症例は臥位ではなく坐位で施術したが、重量を支える筋活動している状態で胸半棘筋刺激した方が効果的になる。 

 

 

6.胸棘筋について

上記患者の胸椎の一行に深刺すると胸半棘筋にぶつかるので、治療で深鍼していたが同じように胸椎一行を治療していても治療効果にムラがあることに気づいた。また後頭-C1部以外の後頸部筋への刺鍼は、かえって首が上がらなくなることも発見した。この考察として後頚部筋はすでに伸びきっていて収縮力に乏しく、代償として胸椎を反らすことで顔を前方に向けているのではないかと考えた。

胸椎一行の浅針でも首が上がるようになるので、胸棘筋のことを思いついた。胸棘筋は脊柱起立筋の一つで表層にある長い筋である。その走行は同心円状になっているのがユニークで、上部胸椎棘突起の本筋線維は、上部腰椎棘突起を起始とする本筋の筋線維は上部胸椎棘突起に停止する一方で、下部胸椎棘突起を起始とする本筋筋線維は中部胸椎棘突起に停止するというもの。要するに上部胸椎の背屈可動性を改善しようと思ったら、下部胸椎一行に刺鍼するというアイデアが生まれる。

 

右肩甲骨内縁が鳴る者への簡易挫刺針法(27歳、男性)

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1.主訴と現病歴

1年半前頃から、両側肩甲間部が痛く、我慢ができなくなった。カイロや整体をすると施術直後はよいが、すぐに元にもどる。地方で一人暮らしをしていて、指圧を頼めるような友人も見あたらないという。この患者に対し、腹臥位にて2寸#8で左右の胸椎棘突起外方5分の部に計10本程深刺し、40分程度置針することで持続性のある鎮痛効果をもたらしたことは以前のブログで説明した。

本患者は他の訴えとして、「肩を動かすと右肩甲骨あたりがゴクッと大きく低い音をたてる」というものがあった。やはり1年半のほど前から出現するようなったという。

2.所見

上腕をどの方向に動かしても音は鳴らないが、肩甲骨を挙上させる動作をすると、その度にゴクッと音がすることが判明。音の鳴る部位を同定するため術者の手掌を肩甲骨周囲にあて、音の鳴る動作を行わせると、肩甲骨内縁あたりであることがわかった。
肩甲骨内縁中央あたりは滑液包がある部であり、滑液不足により肩甲骨とその下にある組織の摩擦が大きくて音がするのではないか。また肩甲骨の上方挙上は僧帽筋によるものなので、肩甲骨内縁に僧帽筋が付着する部の摩擦が問題だと考察した。


3.針灸治療

治療は音の鳴る一点を定めるのが困難だったため、肩甲骨内縁で僧帽筋が付着する部に直径3㎝程度の範囲に10本ほど集中置針を行い、音が出るような動作(肩甲骨挙上運動)を行わせる運動針をおこなってみすると音の大きさに変化ない場合と小さくなる場合があり、変化ない場合には他の部位に指針して音の小さくなる部位を探し出した。

要するに音が鳴るピンポイントがわからないので、おおざっぱに網を張るという状況で、試行錯誤が続いた。しかしある時、置針してある10本ほどの針で、音の鳴る瞬間にブルンと針柄が震える針を3本発見できた。そのそれぞれに簡易挫刺針法をおこなってみた。
まったく音が変化しなかった簡易挫刺針もあったが、瞬時に音が大幅に小さくなることも多かった。手の下感ではなく、視覚的に判断できるので、無駄のない治療ができるようになったと思っている。



4.簡易捻挫刺針法とは

捻挫刺針法の簡略版を簡易捻挫刺針という。捻挫刺針法とは針先がの字形状となっており、そこに真皮や皮下組織をひっかけて切断する方法。塩沢幸吉氏が創案した。
今日でいう浅層ファッシアに対する治療になる。強刺激になり、専用の針が必要なこともあって、あまり普及していない。簡易捻挫刺針は通常の豪針を用い、一方向に針柄を何回転も回し、針体に組織が絡みついたら一気に引き抜くというもの。

むずむず脚症候群の針灸治療Ver.1.4

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むずむず脚症候群の正式名称は、下肢静止不能症候群、RLS, Restless Legs Syndromeという。最近になって認知されてきた疾患である。ある日、橈骨麻痺で来院中の患者が「むずむず脚症候群もある」と訴えた。これまで抱いていた私の印象から、「それは大変だ」と応じたが、その患者は薬を飲めば治るが、あまり薬は飲みたくないと云った。私は患者がむずむず脚症候群であること以上に、治す薬があることに驚いた。早速ネット検索してみて、かつての常識がすでに古くなっているこをを思い知らされ、新たな見解も生まれたので、本稿としてまとめる。

1.症状

脚の不快感と動かしたい欲求。脚の表面ではなく深部に不快な感じがあり、動かすと少し軽減する。その不快感は様々に表現される。むずむずする、虫が這う、痛がゆい、など。
症状は夕方から夜間にかけて強くなることが多い。自然治癒はごくまれで、進行性増悪することが多い。人によっては背中や腕にも現れることがある。

2.原因

神経伝達物質であるドーパミンの機能異常。
    
神経伝達物質ドーパミンの機能低下
         ↓
A11と呼ばれる脳の神経細胞の機能低下。
                 ↓
脳に送る必要のない身体深部知覚の些細な信号をカットできず、脳が過敏状態
         ↓
     「むずむず脚症候群」
   
身体の中では、脳が認識する運動刺激や身体感覚の他に、一定の閾値に達しない「雑音」のような深部知覚が無数に発生している。これらの深部知覚は、間脳部に相当するA11領域から脊髄に伸びる下行性の神経細胞によって抑制されているので脳にまでは達しない。

しかし何らかの原因によってA11の神経細胞の働きが弱まり、特に夜間、運動刺激や身体感覚の刺激がなくなると、「雑音」のような深部知覚が上行しやすくなり、脳が感覚情報過多の状態になり“むずむず”するような不快感を覚えるようになる。

なおA11の働きが弱まる原因として、ドーパミン神経細胞の機能障害や、脳内の貯蔵鉄(フェリチン)減少や鉄代謝異常が関係しているとされている。
   
夜になると脳の松果体からメラトニンが分泌され、身体が眠りにつきやすいように深部体温が下がる。とともに“むずむず”するような異常感覚も現れてくる。明け方になってメラトニンの分泌が減って、深部体温が上昇し始めると異常感覚は消失する。 

A11の働きが弱まる原因として、ドーパミン神経細胞の機能障害が関係している。一部の統合失調症治療薬(リスパダールなど)は、ドーパミン過剰活性を抑えるので副作用として、むずむず症状が生ずることがある。  


 

3.現代医療での治療

 「ビ・ シフロール錠」が、日本で初めてむずむず脚症候群の薬として2010年1月に保険適用された。本剤はドパミンアゴニスト(=作動)薬で、ドパミンの代わりとなってドパミン受容体を刺激するもの。要するにドーパミン量を増やし、弱まったA11神経細胞に直接刺激を与え 脚の不快感のもとをブロックする機能を回復させるもの。
  
※本剤は、パーキンソン病での治療薬だが、むずむず脚症候群で使われる場合はパーキンソン病治療に比べて、6分の1~18分の1という少ない量で効果がある。ただし長期間連用すると効かなくなっていくる。
 

4.針灸治療

1)考え方

A11神経細胞の機能低下により、脳に届ける必要のない深部知覚信号カットできなくなっている。であるなら脳へより大きい深部知覚信号(=響かせる針)を送ることで、先の「雑音」のような深部知覚信号をマスキングできるのではないだろうか。この考え方は、パーキンソン病の四肢痙縮治療としても使えるものであろう。  
  

2)発作時、足三里に対する深刺で響かせる(小宮猛史先生)

体験例:うちの家内は、寝室で寝ていたかと思うと脚をどんどん叩きながら起きてきて「なんとかしてー」と訴える。虫が這うようなむずむず感を感じ、じっとしていられないと言う。発症はたいてい右側。

そこで発症するたびに足三里に、そっとゆっくり止まるまで刺入し、ゆっくり雀啄することで得るズーンという響きを与える。すると直後に8割くらい楽になり、次に足三里の少し下にもう一箇所響かすように鍼をするとすっかり消失し、そのあとぐっすり眠れるようになる。時間にして2~3分。なお切皮程度の深さで高速撚鍼して響きを与えても症状の軽快はみられない。

先日の発作時、家内に協力してもらい、いつもの鍼するところをお灸にしてみた(半米粒大の大きさで7壮ずつ)。しかし、じっとしていられるような効果までは出なかった。結局そのあと鍼して鎮静。(小宮猛史:ブログJTDの小窓 ムズムズ脚足症候群 2014.3.12より)

小宮猛史先生ブログ

http://blog.goo.ne.jp/takeincho/e/75b1700aff424fe277a7309dc1deb0c6



3)委中部の強圧(「昼のガスパール・オカブ日記」より)

患者は仰向けに床に寝る。治療者により患者の膝の裏の筋を強く圧してもらっていると、かなり痛く感じる箇所がある。そこを治療者に50回くらい念入りに強く圧すように揉んでもらう。これを両脚やる。揉んでもらっている時はかなり痛く感じるのが普通である。本報告者の場合、この治療の効果は1ヶ月程度である。それを過ぎるとまたむずむず感が出てくるので、上記方法を繰り返す。就寝前に治療を行うのが望ましいという。

 

 

4)下肢脛骨骨膜刺針が効果的かもしれない

ズーンと響くように刺針することが有効だという報告があったので、筆者は中国針で足三里や三陰交から神経幹ねらいで刺針してみたが、思うような効果が得られなかった。そこで脛骨骨膜刺として足三里や三陰交から脛骨骨膜に擦りつけるように刺入し、後脛骨筋に至るような深刺をしてみた。すなわち、シンスプリントの針治療の流用を行った。すると、これまで単に強い響きを与える目的で行った刺針よりも、ムズムズが減った。針灸治療的に、シンスプリントとムズムズ脚症候群は同じ範疇として捉えることができるのだろうか。 

シンスプリントの骨膜刺激針治療(似田)
https://blog.goo.ne.jp/ango-shinkyu/e/58c9421d320b880ecd41da4e15861ead

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴルフ肘の針灸治療 ver.1.1

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1.ゴルフ肘の概略

1)病態
ゴルフでボールを打つ際、左肘をのばし手関節を強く背屈・回内するため、手関節を屈曲作用のある前腕屈筋群に共通腱の起始部の上腕骨内側上顆部の腱や骨膜に炎症が起こる。フォアハンドテニス肘と同一の病態。症状は上腕骨内側上顆部の運動時痛。  

 

 

 

2.ゴルフ肘の針灸治療   

①上腕骨内側上顆部(少海穴ではない)つまり肘関節の内側部と、上顆部に付着する前腕屈筋群の筋緊張点に刺し、運動針実施。 ターゲットは意外に小さく、肘の前面ではなく内側にある。内側上顆部の圧痛点は肘を屈曲させた状態で探すとよい。 

②円回内筋緊張に対する治療は、少海・孔最あたりになる。これらの穴から円回内筋に刺針した状態で、ゆっくりと大きな前腕の回外・回内動作を 5~10回行わせることで、円回内筋の過収縮を改善する。      

 

※孔最取穴:前腕前橈側、太淵穴の上7寸、尺沢穴の下3寸腕頭骨筋上。深部に円回内筋がある。    
※少海取穴:肘を半ば屈曲し肘窩横紋の内端で上腕骨内側上顆から橈側へ入ること5分。円回内筋起始部。

 

3)手関節の屈筋を緩めることで、上腕骨内側上顆にかかる筋の牽引力を弱くする。

椅座位で生ずる右大腿後側痛に、大殿筋起始部トリガーポイント刺鍼が有効な例(85歳、女性)

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主訴:右大腿後側痛

現病歴:
当院初診15日ほど前から、思い当たる理由なく、右大腿後側痛が出現した。仰臥位時や立位、歩行時には痛まないが、椅子に座ると痛み出現し、我慢できないという。


理学所見:
症状部である大腿後側中央の殷門穴あたりに強い圧痛あり。坐骨神経ブロック点の圧痛なし。下腿から足部にかけての圧痛も目立たなかった。

当初の診断:
痛みが下腿にないこと、坐骨神経ブロック点すなわち梨状筋にも圧痛ないことから、大腿後側筋(大腿二頭筋長頭や半腱様筋)の限局的なトリガーポイント陽性と判断。


初期の鍼灸治療:
側臥位で坐骨神経ブロック点・殷門・下腿坐骨神経走行沿いの経穴に刺鍼するも効果もないので、殷門付近の局所集中置鍼を行い、筋の完全弛緩目的で20~40分ほど置鍼してみたが、治療効果は術後1時間程度しか保てなかった。同治療を繰り返すと、徐々に効いてくるのではないかとも思って、1ヶ月間に20回この治療を行うも前進はみられなかった。


鍼灸治療の工夫
「痛みを再現する動作をさせて反応点を見出し、刺激する」という鉄則を思い出した。
ベッドに座らせると、やはり大腿後側でベッドに押し付けられる部が痛むというので、その姿勢のままやや患側殿部をベッドから浮き上がらせた姿勢をとらせ、大腿後側に指を差し込んで圧痛を診てみた。すると圧痛は大腿後側になく、承扶(殿部と大腿後側の境界)あたりにあった。要するに大腿後側痛は放散痛部位にすぎないらしかった。

 承扶の圧痛を発現させた肢位で刺鍼することは難しいので、側臥位で再び承扶を押圧してみると圧痛はなくなっており、仙骨外縁に新たな圧痛を発見できた。
 この仙骨外縁は梨状筋症候群で、しばしば圧痛をみることが多いが、今回の仙骨外縁の圧痛は単に下向きの力で押圧しただけでは発見できず、大殿筋起始部から仙骨外縁を強く押し付けるようにして初めて強い圧痛点反応となって把握できた。針も大殿筋起始から仙骨外縁にぶつけるように刺鍼し、やっと持続効果を得ることができた。


 

最終的な鍼灸治療

以上の試行錯誤から、本患者の椅座位時に生ずる大腿後側痛は、大殿筋のトリガーポイントだと予想した。なお同部位は梨状筋トリガーポイントでもあるが、本例は下腿への坐骨神経症状がないので、除外した。



森秀太郎著「運動分析と瞬間脱力法」を読んで

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久しぶりに医道の日本誌500回記念号をめくっていると、森秀太郎氏発表「運動分析と瞬間脱力法」と発表が目にとまった。森秀太郎は、かつての針灸本のベストセラー「はり入門」の著者としても知られた方である。


筆者はかつて次のブログを報告した。
https://blog.goo.ne.jp/ango-shinkyu/e/59095952791641dd7da8222827b5327b

今回はその続編で、森秀太郎と類似内容のものを併記して検討することにしたい。


1.森秀太郎「運動分析と瞬間脱力法」からの部分抜粋
(補助として用いる療法 「 現代日本の針灸」、医道の日本、500回記念、昭和44(1969)年5月1日)

身体のひずみの治しかたには二つの方法がある
1)整復法
関節の仮脱臼を他力的に整復する。(カイロプラクティックのことか?)

2)瞬間整復法
痛みがある方向とは、相対的な反対方向に運動を行い、その時に術者が適当に抵抗を加えながら、ある角度に達すると急に患者自身に脱力させる方法をいう。
たとえば「寝違い」で、前屈すると非常に痛いが、後屈にはそれほど苦痛がないとする。このような場合、あらかじめ前屈せしめて痛みの起こす寸前で止め、次に術者は患者の後頭部に手を当て、患者自身に後屈するよう命じて患者自身の後屈運動に抵抗を加えながら徐々に後屈させ、前屈と似たような角度になったときに号令を与えて患者自身に急速に脱力させるようにする。この間、患者と術者のイキが合うとうまくゆくが、患者が脱力のタイミングを間違えると十分な治療効果が得られない。脱力が完全に行われた場合は、つぎに前屈すると運動前の痛みがまったくなくなっていることもある。
瞬間脱力法は、筋緊張性の痛みにはとくに勝れた効果があり即効性がある。頸痛、肩関節痛、腰痛、膝痛など、その応用範囲が広い。


2.操体法
 
森秀太郎の記した瞬間脱力法は、橋本敬三医師が創案した操体法に似てる。橋本が操体法を始めたのは、函館病院勤務の頃(1926~1941)なので、森が医道の日本に発表した原稿よりも前の話ということになる。
操体法とは、橋本が高橋迪雄・奥村隆則に正體術など民間の健康法・療術を習い実践する中で、創案した手技療法であって、痛みやつっぱりを感じるとき、痛い方向・つっぱる方向から、痛くない方向・つっぱりを感じない方向にゆっくり動かし、最後にすっと力を抜くと歪みが解消されるという方法が基本原則になる。
橋本の初期の代表的著書には、「万病を治せる妙療法」や「からだの設計にミスはない」
などであるが、エビデンスに乏しかった。これらは一般向けの実用書だからなのであって、医療専門家が読む医歯薬出版社発行のものならば大丈夫だろう思って、国分壮、橋本尊敬三共著「鍼灸による速効療法 運動学的療法」(昭40年4月20日)の古書を探して読んでみたが、状況に変わりはなかった。ただ序文には、運動学的療法は操体法と同じ意味でわが国で用いられるようになり、間中喜雄はこの運動力学を経筋療法と称して海外に公開していることを知った。


3.伸張反射
1910年頃から中枢神経が末梢神経を制御していることが知られるようになった。求心性(上行性)の神経である「感覚線維」は、次の分類で表現される。
 Ⅰa・・・筋紡錘
 Ⅰb・・・腱紡錘
 Ⅱ・・・触覚・圧覚
 Ⅲ・・・痛覚・温冷覚
 Ⅳ・・・痛覚
 

操体法の理論敵裏付けとなるのは、上記のⅠa神経の抑制である。Ⅰa抑制とはスムーズな関節運動を行うためのしくみで、主動作筋が収縮する際は、拮抗筋が弛緩する生理的機序のこと。この機能がないとスムーズな関節運動はできない。たとえば肘屈曲ので上腕二頭筋が収縮する際、上腕三頭筋が弛緩する現象などである。
 
傷害ある筋は筋緊張(=収縮)して痛みをもたらしているから、その拮抗筋を収縮させることで、傷害筋の筋収縮を緩和するというのが治療原理になる。その際、この反応を強めるため、拮抗筋を収縮させる際に術者が抵抗を加え、最終動作段階で患者・術者ともにタイミングを合わせて脱力させるのが効果を生む秘訣になる。

1910年というと百年も昔ことになるが、このような海外の生理学的知見が、日本に入ってきてさまざまな医療者に理解され、臨床応用されるまでになるには、現在と異なり、10~20年の時間を要するだろうから、橋本敬三や森秀太郎が海外の最新知識として参考にしたとしても不思議ではない。

 


ベッドカバーズレ防止の決定版

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正規のベッドカバーは元々が値が張る上にクリーニング代も高くつくので、当院では特大のバスタオル(180センチ✕90センチ)を使っている、患者が体位変換する時、バスタオルもズレることが多いのが悩みの種だった。そこで筆者は、2016年10月27日に「ついに見つけた。ベッドカバー滑り止め下敷き」と題したブログを発表して、その対策を発表したが、それでもズレを防止しきれなかった。

 https://blog.goo.ne.jp/ango-shinkyu/preview20?eid=68cf64ec7030fa5f4d0658c558a1b91a&t=6774356425d8f8aaeddf81?0.27458949187762394

今回、バスタオルがずれない新たな工夫を思いつき、十分な効果を得られたので公開したい。

 

1)ベッドに「STOPPカーペットすべり止め」を載せる。(北欧大型家具店イケアで購入)
網目になっていて、ハサミで簡単に切れる。ベッドの天板の大きさ程度に自分でカット。

 

 

 

2)「STOPPカーペットすべり止め」をベッドに敷き、ダイソーで購入した「万能ベルト」で2箇所程度くくりつける。「万能ベルト」は、よく見かけるダンボール等を梱包する時に使う帯状のポリプロピレン製のヒモだが、長さを調節できるストッパーがついている。余った分はハサミで簡単にカットできる。2本で100円(税別)。

 

 

 

 

3)その上から特大バスタオルを敷く。以上。

4)なお当院では寒くなると、ベッドに家庭用の電気敷毛布を敷くが、ベッド→電気敷毛布→「STOPPカーペット」の順番で敷き、「万能ベルト」でこれらをくくりつる。その上にバスタオルを敷くようにすればよいだろう。

 

 

 

 

咽喉異常感症(咽頭神経症)の針灸治療・手技療法

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1.咽喉異常感症の特徴的症状   

咽喉異物感では、まず咽喉神経症(ヒステリー球、梅核気)を思い浮かべるが、以下の疾患を除外する。

R/O 食道癌:「食べた物が下に入っていかない」と訴える。    
R/O 喉頭癌:嗄声が初期症状。進行すると呼吸困難出現。   

器質的な異常がみつからない場合、器官神経症(心臓神経症、血管運動神経症、胃腸神経症などと同類)と断定されてしまうので、患者は苦悩する。咽頭神経症は、かつてはヒステリーの重要症状とされていたが現在は否定されている。咽喉異常感症の特徴は次のようである。  
・食事摂取時には問題ない。  
・唾を飲み込む時は気になる。  
・痛みではなく、何かが使えている感じ(患者自身、癌を心配している)  
・数ヶ月~数年の期間で症状の悪化はない。(症状の悪化があれば他の疾患を考える) 


2.針灸治療と手技療法

耳鼻科での検査で異常がみつからない咽喉狭窄感といのは、実は咽喉に異常があるのではなく、 前頸部の筋緊張がもたらした自覚症状なのかもしれない。この構想をもとに前頸部筋を緩める方法が整体的方法としていろいろ考案されている。具体的には舌骨上筋群・胸鎖乳突筋・広頸筋などの緊張をゆるめることになる。なお針灸では緊張部を押圧する代わりに刺針するとよいだろう。


1)舌根(=上廉泉)刺針
    
舌根刺針は舌骨上筋刺激になる。舌骨上筋緊張すると舌骨が挙上する。なお舌の根元は、咽喉奥にあるのではなく、下顎骨の後縁にある。  
①舌根刺針は、舌扁桃刺激にもなり、舌下腺刺激にもなる。舌扁桃痛軽減や唾液分泌を促進させる意味もある。
②この部は舌咽神経支配が知覚支配しており、刺針すると舌根や咽喉に針響を与える。  

 

 

 

 

2)舌骨上筋・広頸筋のストレッチ手技   

本法は事実上皮下筋膜ストレッチ法でもある。  

①仰臥位。前頸上部の胸鎖乳突筋そして胸鎖乳突筋の内縁部を術者左手の母指以外の4指で軽く押圧する。
②その状態のまま右手の指先で顎下部を軽く押圧する。  
③左手で前頸部の筋や皮膚の動きづらくしているので、右手指で顎下部を押圧しても指はあまり沈まないが、そこを強めに押圧することで舌骨上筋をストレッチさせ、コリを軽くすることができる。
 

 

3)胸鎖乳突筋ストレッチ

本法は、Ⅰb抑制を使った筋緊張緩和手技に相当する。   

①椅坐位で、頸の過伸展位置をとらせ胸鎖乳突筋を伸張させる。
②その姿勢のまま患者自身(または術者)の両手をザビエルの肖像画のように胸元で交叉させ、左右母指で胸鎖乳突筋起始部である鎖骨と胸骨部を順に軽く押圧し続る。  
③過伸展位にした頸を左右に回旋することで、さらに胸鎖乳突筋を伸展させる。    
④次第に胸鎖乳突筋の緊張が緩んでくるにつれ、咽の狭窄感も軽減する。  



3)広頸筋ストレッチ手技          

下顎骨の下縁から、上胸部にわたる頚部の広い範囲の皮筋。首の表面に皺を関連する筋膜を緊張させ、口角を下方に引く働きを持つ筋である。  
坐位で、口角を横に広げつつ下方に引き、前頸部に縦シワをつくるようにする。この動作を何回か繰り返す。と視認できる。

 

 

 

 

変形性膝関節症に対する膝蓋骨ストレッチ

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1.私の膝OA治療の要点

膝痛患者に対し、仰臥位で股関節を屈曲、膝をできるだけ屈曲させた姿勢にさせ、膝蓋上縁すなわち大腿四頭筋の停止部の圧痛を探る、そして圧痛あれば、圧痛点(=鶴頂穴)に単刺または直接灸3壮程度を行うことで、痛みが改善することが多かった。
この治療理論は、Ⅰb抑制を利用して大腿四頭筋をゆるめるというものだった。ちなみにⅠb抑制とは、筋が外力によって急激に引き伸ばされた際、筋断裂を防ぐための防御機能であるって、受容器は。その筋の腱紡錘にある。すなわち四頭筋を緊張状態にして、鶴頂を刺激すると、さらに四頭筋が緊張したので、このままでは筋断裂すると身体が解釈して四頭筋緊張を緩めることになる。

ところで最近、61才女性(看護師)の変形性膝関節症の治療を行っている。だいたい週1回ペースで行い、上記の鶴頂灸と立位で内外膝眼刺針で関節包刺激を行うことが多かった。今回は今ひとつ膝痛の治療効果があがらないので、最近覚えた徒手矯正手技を加えてみると、1週間後再来した折、あれは効いたからもう一度やって欲しいといわれたので、その手技を紹介したい。


2.膝蓋骨ストレッチ

1)ためしてガッテンの方法

四頭筋が過緊張して膝蓋骨が可動しづらくなっているのであれば、施術者が膝蓋骨を積極的に上下左右に動かすことで四頭筋を緩める方が、より直接的かもしれない。NHKためしてガッテンでは次の内容が放映された。

①膝を完全伸展させてから脱力。膝蓋骨が水平方向に動くことを確認。
②膝蓋骨縁に両手の親指を重ね、膝蓋骨のヘリを押す(上下左右、斜めなど8方向) 。押す時間は1か所につき5秒程度。
③1回のストレッチは3分まで。1日2回が目安

 

 

 

2)私の行っている膝蓋骨ストレッチ法    

上記方法は、あまりにも素人くさいので私としては次のようにアレンジしている。椅坐位で患膝の内・外膝眼に、術者の左右の母指を置き、膝蓋骨を上方に押圧。その状態にしたまま、患者に少々膝の屈伸運動を10回程度行わせる。

 

当ブログにようこそ

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                 「現代医学的鍼灸治療」に、ようこそ

 ご関心のある方は、長年にわたり、諸先生がたの治療文献をたよりに勉強してきましたが、針灸臨床を始めて28年(平成18年現在)が過ぎた現在、自分なりの針灸治療も確立しつつあるように思った。単なる知識の受け売りにとどまらず、自分なりの見解をつけ加える内容にしたいと考えている。記す意味は、これまで世話になった諸先輩への御礼、および真摯に針灸を研究している先生がたのご参考に供することにあります。なお本ブログは、平成18年3月10日から配信開始しています。

当ブログに対して、ご意見・ご感想を頂戴することは大いに歓迎するところです。しかし今後匿名で私に回答を強いる質問等につきましては、今後返信しないことにしました。(平成30年2月15日)

 

 

 


 

 

 

現代鍼灸臨床論CDのご紹介

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1.序

私は、この2年近く、少人数性の現代鍼灸実技講習会<奮起の会>を継続しているが、平成元年末の第3期終了をもって一休みすることにしました。半年後をメドに再開したいと葉思っています。2週に1回のペースで行ったので、現在は少々疲労困憊の状況です。疲れるのも無理ありません、私も本日令和元年11月19日満66才になりました。指導員として講習会をお手伝いして下さった小宮猛史先生・小野寺文人先生・吉村英先生にも、ご苦労をかけました。

一昨日の平成元年11月17日の奮起の会も満員盛況のうちに講習会を終えることができたが、奮起の会には何度も参加しているのに「現代鍼灸臨床論」を執筆しているのを知らない先生がいたのには驚きでした。現代鍼灸臨床論テキストの存在は当然知っているものとして奮起の会参加者にはあえて説明していませんfrした。 この著作は<あんご鍼灸院ホームページ>の中で紹介していますが、これも数年前の情報です。本著作は、三十数年前鍼灸学校の学生指導用としてまとめた薄いテキストでしたが、改訂を重ね、現在では現代鍼灸治療者のテキストに変化するとともにボリュームも増しました。現在の内容は次の通りです。

 

2.現代鍼灸臨床論(2019年版)目次
(令和元年11月19日現在)


現代医学的鍼灸のブログをご覧いただければ鍼灸治療を説明しているが、ブログも内容が膨大になっている。ブログは要点を整理したものであって、初学者にとっては理解しづらい部分もあるかもしれない。現代鍼灸臨床論では順序だてて説明しているので体系的に学習できるという利点がある。

◎現代針灸臨床論Ⅰ   第15版 (本文 計p313)
整形外科・末梢神経障害・歯科  

第1章 頭痛 p23  
1節 針灸不適応の頭痛の除外   2節 針灸適応となる頭痛の概要   3節 頭痛の鑑別診断   4節 頭痛の針灸治療

第2章 頸腕痛 p32 
1節 頸腕痛疾患の概要  2節 頸肩腕症状の鑑別診断    3節 頸肩腕痛の針灸治療    4節 肩こり性 

第3章 肩関節痛 p26   
1節 肩関節の動きと作用筋   2節 結帯動作制限・結髪動作制限と治療   3節 肩関節疾患と針灸治療   4節 いわゆる五十肩

第4章 腰痛 p26  
1節 腰痛疾患の概要    2節 腰痛の不適応の判定    3節 効かせるための針の技法   4節 殿部痛

第5章 腰下肢痛 p32  
1節 腰神経叢症状   2節 仙骨神経叢症状と腰椎椎間板ヘルニア    3節 脊柱管狭窄症   4節 股関節疾患  

第6章 膝関節痛 p31
1節 針灸不適応の膝痛疾患   2節 膝関節痛の鑑別診断    3節 針灸適応の膝関節痛の針灸診療  4節 変形性膝関節症の針灸診療  

第7章 顔面症状 p23  
1節 顔面痛    2節 顔面神経麻痺   3節 顔面部の痙攣  

第8章 上肢部症状 p35 
1節 肘関節痛     2節  手関節痛・手指痛   3節 上肢の神経麻痺と神経絞扼障害  

第9章 下肢部症状 p36  
1節 下肢の常見疾患     2節 足部の常見疾患   3節  下肢の神経麻痺と神経絞扼障害  

第10章 歯科症状 p23   
1節 歯の基礎知識    2節 歯科の主要疾患    3節 歯科領域の針灸治療   4節 口内炎  5節 顎関節症   

第11章 総論的知識 p26   
1節  神経線維と運動制御     2節  MPS(筋膜性疼痛症候群)     3節『鍼治新書』の要点                 

 

◎現代鍼灸臨床論Ⅱ 第23版 (本文 計367ページ)
内科・眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・産婦人科・皮膚科他    

第1章 上中腹部消化器症状  p37
1節 腹痛の代表疾患  2節 針灸院における診察手順  3節 内臓体壁反射と針灸治療パターン  4節 横隔神経と体壁反応   5節 胃疾患と針灸治療  6節 肝炎患者の扱いと慢性肝炎の針灸治療   7節 胆道疾患と針灸治療  8節 膵炎と針灸治療        

第2章 下腹部消化器症状  p27  
1節 下腹痛と体壁反応  2節 針灸院での下腹診察と針灸治療   3節 下痢   4節  便秘    5節 下痢・便秘の針灸治療    6節 虫垂炎と針灸治療   7節 痔疾と針灸治療         

第3章 鼻科・咽喉科症状  p31  
1節 鼻の疾患  2節  咽頭の疾患  3節 喉頭の疾患   4節 くしゃみ・しゃっくり   5節 かぜ症候群

第4章 胸部症状  p26  
1節 胸痛の針灸診療  2節 動悸・息切れ  3節 咳嗽・喀痰の針灸治療  4節 気管支喘息の針灸診療     

第5章 末梢循環器症状   p32 
 1節 冷え症   2節 ほてり・のぼせ  3節 末梢動脈閉塞性疾患   4節 メタボリックシンドローム  5節 低血圧症

第6章 精神症状と全身症状 p40  
1節 不眠症  2節 疲労倦怠および貧血  3節 不定愁訴症候群・神経症・更年期障害   4節 肥満 

第7章 腎・泌尿・生殖器症状  p32  
1節 腎・泌尿器と体壁反応    2節 主な腎疾患    3節 疼痛を生ずる尿路疾患  4節 頻尿・尿失禁・排尿困難   5節 夜尿症  6節 ED          

第8章 産婦人科症状  p29  
1節 性周期とホルモン  2節 婦人科の主要疾患  3節 婦人科疾患の体表反応と針灸治療  4節 月経異常   5節 月経随伴症状と針灸治療    6節 不妊症   7節 産科の主要疾患   8節 乳房症状           

第9章 眼症状 p32
1節 眼の構造と機能    2節  代表的な眼症状と鑑別診断  3節 代表的な眼科疾患  4節 全身疾患の一部としての眼科症状  5節 眼科の針灸治療            
第10章 耳科症状  p38  1節 耳の構造と機能    2節  難聴・耳鳴の診察  3節 めまいの診察  4節  耳痛と針灸治療  5節  耳科疾患の概要   6節 難聴・耳鳴の針灸治療   7節 めまいの針灸治療    

第11章 皮膚科症状 p23  
1節 皮膚腫瘤   2節 アトピー性皮膚炎   3節 毛髪の異常

第12章 その他の主要疾患  p20  
1節  関節リウマチ   2節 脳血管障害   3節 パーキンソン病  
巻末資料:体性神経デルマトーム図

 

3.「現代針灸臨床論」の御購入方法

1)「現代医学臨床論」はPDFファイルで配布します。記録媒体はCDです。  内容が多いので、一度にプリントアウトしようとせず、必要に応じて章ごとに印刷して いただければと思っています。どのパソコンでも閲覧やプリントアウトできます。

2)現代鍼灸臨床論Ⅰは5,000円、現代鍼灸臨床論Ⅱは6,000円です。 同時にⅠⅡ御購入の場合、合わせて10,000円とします。
(過去に購入済みで、新版をご希望の方は、上記の半額)

3)御購入手続き  
①以下の内容のメールをお送り下さい。アドレスはnitadakai825@jcom.zaq.ne.jp  似田敦 まで  
購入希望の現代鍼灸臨床論(Ⅰのみ、Ⅱのみ、ⅠとⅡ)を記載。   
お送り先の住所・御名前・電話番号を明記。   
御名前と領収書宛名が異なる場合、領収書宛名も知らせて下さい。  

②当方より了解した旨のメールを差し上げますので下記の当院指定の銀行口座に代金をお振り込みください。代金振込完了後は、「振り込んだ」旨のメールを頂くと、素早い対応ができますので宜しくお願い致します。 恐れ入りますが振込手数料はご負担ください。 
三井住友銀行 国立(クニタチ)支店  普通預金口座5389422   似田敦(ニタダアツシ)

③御入金確認後、迅速にテキストCDをお送り致します。領収書も同封します。

 

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