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Channel: AN現代針灸治療
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頭痛・眼精疲労時の太陽穴反応と刺針手技 ver,1.1

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1.太陽穴の名称
 
中国語でコメカミのことを太陽という。太陽穴との名称理由は不明だが、屋外で最も太陽に照らされる部位と考えたのではなだろうか(頭部は頭髪があるから陽は直接は当たらない)。ちなみにコメカミのことを英語ではテンプル temple という。これはお寺の temple とスペルも同じなのだが、外来語を英訳する際にたまたま同じ綴りになってしまった訳で両者間に関係はない。 


2.太陽穴の取穴

こめかみ部で、外眼角と眉毛外端を結んだ線の 中点から後 外方に約1寸の陥凹部にとる。頬骨の外縁で側頭筋前方になる。



3.太陽の局所解剖

太陽穴のある側頭筋は咀嚼筋の一つである。側頭筋の機能は下顎骨を挙上させ、食物を咀嚼することである。側頭筋は扇形に広がった形をしており、起始は側頭骨外周に、停止は下顎骨筋突起にある。力学的観点から、側頭筋は後方(緑矢印)に比べて太陽穴のある前方(赤矢印)に強い収縮力が起こることが理解できる。すなわち太陽は、側頭筋の筋収縮が起こりやすい部だといえよう。



4.緊張性頭痛と太陽穴

緊張性頭痛のタイプには、「きつい帽子をかぶっている」タイプと「頭に石が載っている」タイプの2種類あり、主に前者は側頭筋、後者は後頭筋由来だとされる。太陽の圧痛反応は、きつい帽子をかぶっているタイプに起こりやすい。トラベルによれば本筋のトリガーポイントが活性化すれば、上歯への放散痛が生じたり側頭筋~眉上の前頭筋部の痛みが生ずることがあると記している。ただし側頭筋緊張が眼部へ放散痛をもたらさないことに留意すべきである。
このような場合、コメカミへ自分の橈骨茎状突起を押しつけならがグルグル回すと症状緩和に効果ある。指先で押圧してグルグル回すのではポイントが限定されるぎるようだ。


5.緊張性頭痛と眼精疲労の相関関係

動物は敵と戦う手段として<噛みつき>攻撃を行う。人間でもその本能が残っていて、ストレスがあると無意識的に強く噛みしめることがある。ゆえにストレスが強いと、無意識下で咀嚼閉口筋である側頭筋緊張が起こりやすい。

また頭痛と眼精疲労は同時に起きやすいことは経験的にしられているが、両者には因果関係がない。ただしストレス→頸肩コリ→眼精疲労という関連はある。前述したようにストレスは側頭筋緊張→緊張性頭痛との流れも平行して起こるので、側頭筋緊張と眼精疲労は同時に起こりやすい。

なお眼精疲労の一因としてドライアイがあり、ドライアイの原因として最も多いのは、ディスプレーを集中して見続けることによりまばたき回数の減少にあるとされている。

 


6.側頭筋に対する運動針法

過収縮した筋を緩めるには、運動針が効果的なことが知られている。そのため側頭筋の圧痛硬結をさぐり、反応点に#2~#3程度で刺針。刺針した状態で、強く咬む動作を数回行わせるようにする。
これで満足すべき効果がみられない場合、タオル等を口に噛ませた状態で刺針。刺針したままタオルを強く噛む動作を数回行わせるとよい。

 


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