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頭部ツボ名の由来

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経穴の学習は大変だが、その中にあって最も難しいのが頭部になるだろう。頭部の経穴は、取穴となる目印が少なく、ツボ名自体も抽象的なものが多い。そこで今回、自分の学習を兼ねて、頭部の経穴の由来を整理してみることにした。ツボ名の由来には合谷、百会、手三里など各人一致した見解をみる穴も多いが、絡却・本神・懸顱・天衝・浮白・承霊など漠然としたイメージにしか浮かばない経穴もあり、こうした経穴の語源はやはり各書で意見が異なっている。結局何が正しいのは今となっては分からいので、最も興味深く印象に残る意見に従った。なかには書物の記述に満足できず、漢和辞典を調べた上、自分の考えを記した部分もある。

 

1.頭顔面経絡の流注概念

①頭顔面には督脈と6本の陽経が集まっている。陽経のうち、ツボが多数存在しているのは、膀胱経・胆経・三焦経それに督脈である。
②膀胱経:後頭部~頭頂部~前頭部(前頭~帽状腱膜~後頭筋)の矢状領域
③胆経:側頭部の側頭筋領域。陽がよく当たる処。
④三焦経:耳と側顔面の頬骨上域支配→老人になると耳遠くなり、頬上部(こめかみ部)がこける。頬上部がこける原因、加齢や栄養不良による側頭部脂   肪体の減少。
⑤膀胱経:後頭部~頭頂部~前頭部(前頭~帽状腱膜~後頭筋)の矢状領域
  

2.前頭部~頭頂部のツボ

①神庭(督) 脳は元神の府であり、「庭」は門庭(前庭) ※本神穴と呼応している。
②上星(督) 天空の星を見上げた時、星に最も近い場所。
③顖会(督) 顖=大泉門のこと
④前頂(督)  百会のすぐ前にある穴   
⑤百会(督)  多くの経絡が集まる部位。
⑥後頂(督)  百会のすぐ後にある穴
⑦曲差(膀)  「曲」=曲がる、「差」=不揃い。睛明からここまで膀胱経の流れは一直線ではなく、曲がることを示している。      
⑧五処(膀)  五処は承光の前、曲差の後にある。五処の両脇には上星と目窓がある。本穴を含めたこの5穴はどれも眼疾患に効果がある。さら五処は膀
 胱経の5番目の穴である。  ※膀胱経の流注:①睛明→②攅竹→③眉衝→④曲差→⑤五処...
⑨眉衝(膀) 眉頭の上方の髪際にある。眉毛を動かすとこのツボまで、突き上げるような動きがある。
⑩承光(膀) 天からの光を拝受するツボ。目に効くことを示す。 
⑪通天(膀)  天に届くほど高いこと。頭頂部の意味。
⑫絡却(膀) 「絡」は絡脈のことで小さな静脈、「却」は退却。眼の充血を消す効能がある穴。頭頂導出静脈関連?
⑬頭臨泣(胆)太陽経膀胱経最初の穴である睛明と少陽胆経最初の穴(内眼角)である瞳子髎(外眼角)は、ともに泣くと涙が出る処。本穴はこれら2穴
       の上方で、瞳孔線上。
⑭目窓(胆) 「窓」は光を入れる窓のこと。眼疾患を治し、眼の窓(瞳孔)を散大させる。
⑮正営(胆) 「正」=正確、「営」=営(現代でいう血液)。脳が正確に血を動かし全身に栄養を回している処。    
⑯本神(胆)  神庭穴の横にあるのが本穴で、奧には脳がある。脳は元神の府である。
⑰頭維(胃) 「頭」は頭部、「維」は額の髪とヒゲをつないでいる部分。
⑱強間(督) 後頭部の人字縫合にある部。小泉門部。

3.後頭部のツボ

①瘂門(督)  瘂=唖(おし)。声を出せない者のこと。発声するのに要となる部位
②完骨(胆)  完骨=乳様突起
③玉枕(膀)  玉=頭蓋骨のこと 寝る時にマクラが当たる部位。
④天柱(膀)  天を支える柱。天とは頭蓋骨のこと。頸椎を天柱骨とよぶ。
⑤脳空(胆)  「空」は孔や陥凹。脳戸の横で、外後頭隆起上の陥凹部に挟まれている。
⑥脳戸(督)   出入りする処を「戸」と呼び、脳の気が出入りする場所になる。
⑦風府(督)   風邪があつまるところ。風邪は頭項部を冒しやすい。
⑧風池(胆)   後頸部の陥凹部で風の吹きだまり。
                                                        

4.側頭部のツボ

①翳風(三)    翳とは、鳥の羽。鳥の羽により風よけとなっている部位。
②角孫(三)    角とは耳上角、孫とは小血管=孫絡のこと。
③頷厭(胆)  「頷」は頭を下げてうなづく。「厭」とはいやになる。頸が回らなかったり、うなづくことができないなどの症状を治す。
④頭竅陰(胆) 竅は強くひきしまった細い穴の意味。頭竅陰は頭部にあって眼、聾、舌強直、鼻閉、咳逆、口苦などの「竅」の病を治す。
 ちなみに足竅陰穴は足にあり竅の病を治す。
 ※人体の九竅:陽竅=耳孔(二)、目孔(二)、鼻孔(二)、口孔(一) 陰竅=前陰と後陰(二)
⑤曲鬢(胆)「鬢」=額の左右にある髪の生え際のこと。
⑥瘈脈(三)「瘈」はひきつけ、痙攣の意味で、「脈」は絡脈の意味。耳後浅静脈の上にあり、小児の痙攣やひきつけなどの病症を治す。
⑦顱息(三)「顱」=頭部。横向きに休息する際は、この部がマクラに当たる。
⑧懸顱(胆)「懸」=ぶら下がる。「顱」=頭部。側頭から出た髪毛がぶら下がる部位。
⑨懸釐(胆) 「懸」=ぶら下がる。「釐」=整える。側頭から出た髪毛を整える。
⑩承霊(胆)「承」は受ける、「霊」は神。本穴は頭の最も高い場所である「通天」の傍らにあり、神の思惟活動に関与している。
⑪率谷(胆)「率」は寄り添う。「谷」とはここでは側頭骨の縫合をさす。
⑫天衝(胆)「天」は頭頂にある百会穴のこと。「衝」はつきぬける。本穴は百会へとつきぬける道としての役割がある。
⑬浮白(胆)    脈気が軽く浮いて上昇し、天衝を経て、頭頂の百会に到る処。白は百に通じることから。
      
     
     

引用文献
①森和監修 王暁明ほか著「経穴マップ」医歯薬
②周春才著 土屋憲明訳「まんが経穴入門」医道の日本社
③ネット:翁鍼灸治療院 HP
④ネット:経穴デジタル辞典  ALL FOR ONE

 

 

 

 

 

 

 

 


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