1.足三里から深腓骨神経に響かせる方法
足三里から刺針し、足首背面方向に響かせようとすれば、仰臥位で膝完全伸展位にて、脛骨粗面の下1~2㎝の部から、脛骨エッジ部から1㎝程度外方を取穴。ベッド面に対して直刺し、前脛骨筋の固い筋層奥にに入ったら、強めの上下の雀啄を行うようにする。このようにすると、ほぼ確実に深腓骨神経に刺激を与えることができる。
要するに、膝完全伸展位にすること、そして標準的足三里位置よりも、脛骨寄りに取穴すること、比較的深刺することなどがコツであろう。
2.陽陵泉から浅腓骨神経に響かせる方法
1)陽陵泉傍神経刺の発見
ある時、当院に、陳久性の下腿外側の痛みを訴える患者が来院した。診察すると陽陵泉に強い圧痛を発見できたので、寸6#2で直刺すると、下腿外側に弱い響きを与えることはできたが、症状は改善されなかった。針を太くしても置針しても効果なし。一応坐骨神経ブロック点に刺針もしたが、元々圧痛はあまりなく、効果ないことに変わりなかった。 効果の乏しい治療を何十回も繰り返すうち、仰臥位下肢完全伸展位で、偶然に教科書陽陵泉位置から2㎝ほど足三里方向を取穴し、ベッド面に対して直刺することがあった。
すると患者がびっくりするほど強い針響が下腿外側に与えることができ、始めて症状の軽減せしめることができた。
2)陽陵泉傍神経刺
陽陵泉の局所解剖は、総腓骨神経あるいは浅腓骨神経が長腓骨筋を通過する部である。筆者の行った方法は長腓骨筋に対知る刺針なので、総腓骨神経(あるいは浅腓骨神経)傍神経刺になっている。傍神経刺といえば、木下晴都先生が有名で、先生の「最新鍼灸治療学」を見たが、陽陵泉の傍神経刺については記載ないようであった。