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下腿から足の筋膜症アプローチ(その2)外反母趾

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1.外反母趾の概要
1)定義           

母趾がMP関節で小趾側に曲がり、第1中足骨と母趾基節骨の角度(HV角 Hallux  vaigus  angle)が20度を越えた状態。外反母趾は中高年の女性に多い。

 

※バニオンbunion :第1中足骨頭の内側部分の隆起。摩擦により生じた滑液包炎。発赤・腫脹・疼痛。

 

2)外反母趾の病態生理
   
深横中足靱帯(MP関節の近位部の足根骨と足根骨を結合する靱帯)のゆるみ
    ↓
足の横アーチ消失して開張足。靴幅が狭く感じる
          ↓
第2趾MP関節底部趾基部で接地し、床を蹴って前進するという習慣(接地部に鶏眼や胼胝が好発)
    ↓
歩行時に母趾屈曲力(長・短母趾屈筋収縮)を必要としなくなり、浮き趾になる。
    ↓
母趾の存在がかえって歩行の妨げになり、徐々に母趾が外反する。

 

3.外反母趾の治療
 
1)運動療法

ゴムバンドを両足の母趾にかけて離す動作に力を入れるホーマン体操が有名で、軽度から中等度の外反母趾に対して痛み軽減の効果が期待できる。
また足の趾でグーチョキパーを作って趾を開く母趾外転筋運動、タオルギャザー訓練も行われる。
日常的に鼻緒のあるサンダルを穿くと母趾と第2趾で鼻緒を挟もうとする力が働くので治療的効果がある。

2)キネシオテープによる外反母趾の矯正法

キネシオテープ矯正の直後から、外反母趾はかなり矯正されるが、変形が治るわけではない。それに加え上ゴムの収縮力が失われ、伸びきってしまうと効果もなくなるので、持続効果はせいぜい2~3時間である。皮膚に直接テープを巻くことは、接着剤が皮膚の角質層を剥がすことになるので連用にも適さない。要するにキネシオネシオテープの用途はあくまで応急処置になる。

外反母趾のキネシオテープ法はいろいろ考案されている。以下はその1例で、私が常用している方法である。

幅約2.5㎝、長さ7㎝と15㎝の2本のキネシオテープを用意する。
テーピングの始点は、母趾基節骨の内側。母趾を小趾側に外旋させながら、母趾背面へとテープを巻いてゆく。

長期連用には、矯正用インソール(クツの中敷き)の使用がよい。

 

 

3)浮き趾に対する長母趾屈筋筋力訓練

長母趾屈筋は、文字通り母趾を屈曲させる機能がある。外反母趾になると、母腹で床を後に蹴って前に進む運動がしづらくなり母趾屈筋も使わなくなって、母趾は浮き趾状態になる。
長母趾屈筋筋力を復活させるには、術者は患者の足腹側から母趾IP関節を押さえつけ、患者にこれに逆らうように母趾を強く屈曲するよう指導する。 
長母趾屈筋は起始が腓骨体下部後面、停止が母趾末節骨底。

 

4)浮き趾の針灸治療
     
外反母趾そのものに対する針灸はないので、浮き母趾を改善することで歩行時に母趾腹で床を蹴る歩行動作改善を目指す。
長母趾屈筋は、下腿部ヒラメ筋の深層で腓骨の直下にある。 座位で下腿外側ほぼ中央、腓骨下縁の陽交穴を刺針点とし、腓骨下縁をかすめるように2~3㎝直刺する。刺入後、母趾の屈伸自動運動を実施。長母趾屈筋腱に加わる牽引力を緩和させる意図がある。
陽交(胆):外果の上7寸、腓骨前縁に外丘をとり、その後方で腓骨後縁で長腓骨筋とヒラメ筋の筋溝に本穴をとる。深部に長母趾屈筋がある。

 


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