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下腿から足の筋膜症アプローチ(その3)足底筋膜炎

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1.足底筋膜炎の概要 

1)解剖
①足底の筋は、表在性の足底筋膜に覆われている。足底筋膜は踵骨隆起から起こり、足の指に至って足底の縦のアーチ維持に貢献している。
②足底筋膜に加わる張力の反復により、足底筋膜の付着部に牽引ストレスが作用し、また足底筋膜の微小断裂を起こす。長距離走の選手に多い。


 

2)症状
痛みの直接原因は足底を走行する脛骨神経分枝の神経痛による。
①足底部の脛骨神経分枝刺激
歩行開始時や走行中に、踵骨前縁(失眠穴前方)や土踏まず部(足根穴)が、ビリビリと痛む。 

※足根穴とは聞き覚えのある奇穴だが、本穴がどこに位置するか、いろいろ調べても分からなかった。中国の記事で<足根穴は湧泉穴の別称>との記述を発見したのだが、足心と湧泉は明らかに位置が異なる。困っていたが、ついに間中喜雄訳「奇穴図譜」(医道の日本社編)に、<湧泉の後方1寸の陥凹部>と記述されているのを発見した。

※外側ばね靭帯(底側踵舟靱帯):距骨を下方から支持し縦アーチ維持に貢献。 踵骨-舟状骨を結ぶ。臨床的重要性は低い。

  
②起床直後の母趾背屈時痛
この微小断裂は、夜間就寝中に治癒機転が働いて固まるが、翌朝に固まった損傷部に体重が加わると、痂皮(カサブタ)が引き伸ばされて破れるように、微小断裂部が破れて激痛となる。

3)経過と予後
スポーツ再開までには数ヶ月の安静が必要(治癒に半年以上かかる例が10%)

3.足底筋膜炎の病態生理と針灸治療

1)治療目標
下腿三頭筋が収縮して踵を離床するタイミングは、足関節の背屈可動性に依存している。正常では、十分な足背屈ができるので、歩行時の後足は十分後方に行った時点で、踵は離床する。
この段階から足指を屈曲して床を蹴るのが生理的である。
もし下腿三頭筋が過緊張していて足の背屈可動性が不十分な場合、早い段階で踵は 離床する(したがって歩幅は狭くなる)。このような歩行を長らく続けていると、足指を屈曲させるのに強い筋力が
必要になり、足底筋膜に負担がかかる。治療は、過収縮している下腿三頭筋の緊張を緩めることになる。


 

2)治療方法

①立位で踵立ちさせた状態で、下腿三頭筋を収縮させ、圧痛(承山など)に刺針する。

乳児は、下腿三頭筋と足底筋膜は種子骨を介して連結している.。種子骨の代表は膝蓋骨であるが、運動方向を変える機能がある。つまり下腿三頭筋の長大な腱という機能で足底筋膜が存在している形になる。生後1年になると乳児も独歩行できるようになり、その頃には種子骨が踵骨と一体になり、足底筋膜と下腿三頭筋は完全に分離される。このような成長の変化から推測できるように、足底筋膜と下腿三頭筋は関連があり、下腿三頭筋が緩むと足底筋膜も緩むと考える。

 

②局所治療:刺痛を与えないようできるだけ細針を使い、足底の圧痛点に浅刺する。結構な痛みを与えるので要注意。置針した状態で、足趾の屈伸運動をすることで運動針効果をねらう。

 

③自宅療法:座位で患側下腿を健側大腿の上に乗せ、自分で下腿三頭筋を強圧、そしてねじるような力を加える。


3)足底筋膜炎のキネシオテーピングの一例 


  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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