立位で膝関節症の針治療をすることの意義 Ver. 1.4
筆者は本年11月15日に「膝OAに対する鍼灸臨床 Ver.2.0」を発表した。 この時、立位で診療することの必要性について少し触れたのだが、鍼灸の効果を高めるために重要な内容なので、今回きちんと説明したい。 1.仰臥位での膝関節周囲の治療 膝OAでは、膝周囲の圧痛点に刺針施灸することが多いが、多くは仰臥位で行い、置針あるいはこれに低周波通電を追加する形をとるのが定石であろう。...
View Article大腰筋性腰痛の症状と鍼治療 Ver.1.1
1.腸腰筋の基礎知識 大腰筋とは、大腿骨から腰椎のそれぞれ全部の間に走る筋で、腸骨筋は骨盤から大腿骨の 間に走る筋。腸骨筋は走行途中で大腰筋と同じの束(腱)になり大腿骨に付着しているので、2筋合わせて腸腰筋とよばれる。起始:浅頭は第12胸椎~第4腰椎までの椎体および肋骨突起。深頭は全腰椎の肋骨突起。停止:大腿骨の小転子、支配神経:大腿神経,作用:股関節の屈曲(大腿の前方挙上)...
View Article小児鍼の歴史と疳の虫の治療
筆者は2011年5月27日、「小児かんの虫の鍼灸治療」と題したブロクを発表したが、最近、長野仁・高岡裕「小児鍼の起源について 小児鍼師の誕生とその歴史的背景」(神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野ゲノム医療実践学部門)平成 22 年 7 月 20...
View Article営衛と宗気のイメージ化した解説
江戸時代末期の異端の鍼灸医師、石坂宗哲の真骨頂は、古典学説の營衞と宗気を動脈と静脈に、後者を脳神経系と捉えたことにあると思っている。こうした石坂宗哲の考えを理解するには、それ以前の伝統的な營衞と宗気について知っておく必要があるだろう。当時の中国人の頭脳になったような気持ちで考察してみたい。 1.營衞...
View Article保険灸について(代田文誌著「鍼灸読本」より)Ver.1.1
数年前私は代田文誌著「十四経図解 鍼灸読本」春陽堂刊を入手した。初版は昭和15年で、昭和50年代に再版された。今日ではそれも絶版となった。...
View Article石坂宗哲が考察した営衛と宗脈 Ver1.2
本稿は、ブログ「営衛と宗気のイメージした解説https://blog.goo.ne.jp/admin/editentry?eid=6b294c3841433e83f3a321c4b291a6df&p=1&disp=50の後編に相当するものです。 1.石坂宗哲の時代的背景と年譜...
View Article肩中兪深刺の理論と適用
1.肩中兪深刺の適応 肩中兪(C7棘突起外方2寸)深刺では第1肋間(第1肋骨と第2肋骨間)に刺入できる。この刺針の適応は、頸部交感神経節刺激の他に、腕神経支配領域の症状に対する治療としての使い道がある。...
View Articleケッペンの気候区分の手法による舌診分類の試み Ver.2.1
1.舌質色 舌(質)色は、血液の色が反映されている。主に寒熱を診る。情報は一次元的である。熱証であれば赤くなる。熱証には実熱と虚熱の区別がある。実熱は外感によるものであり、虚熱は陰虚(脱水状態)による(両者の鑑別は舌苔で行う)。舌苔舌先や舌辺が鮮赤色ならば実熱。熱毒では紫色になる。寒証であれば舌色は淡くなる。 寒熱は、脈診でいう脈の遅数と相関性がある。 ①淡紅舌(淡紅色): 正常な血色 →...
View Article石坂宗哲が考察した営衛と宗脈 Ver1.3
本稿は、ブログ「営衛と宗気のイメージした解説https://blog.goo.ne.jp/admin/editentry?eid=6b294c3841433e83f3a321c4b291a6df&p=1&disp=50の後編に相当するものです。 1.石坂宗哲の時代的背景と年譜...
View Article膝痛患者における鶴頂圧痛と内外膝眼圧痛の相違点 Ver.1.2
筆者は、2018年1月26日のブログ「立位で膝関節症の治療をすることの意義」で、膝痛患者に対し、立位で膝関節周囲縁の圧痛を探り、圧痛部に速刺速抜刺法を行う技法を提案した。このやり方は、2ヶ月ほど臨床に使ってみて、非常に効果の高い治療法らしいことが分かった。また自分なりの見解もできたので、ここに整理することにした。 1.刺針体位の変更...
View Article耳鳴に対する鳴天鼓のやり方 ver.1.1
1.鳴天鼓(めいてんこ)の再発見ネットの面白情報チャンネル<らばQ>2017年9月20日の記事に、側頭部をタッピングすると、耳鳴りが軽くなるという内容があった。その方法を行った患者たちが喜ぶユーチューブ動画もあって、患者の喜ぶ姿をみて、これはすごい効果だと思った。効果があるなら自分の治療として取り入れることになる。...
View Article「秘法一本鍼伝書」<下肢外側の病の鍼>の現代鍼灸からの検討
1.「秘法一本針伝書」下肢外側の病の鍼(環跳) 1)取穴法患側を上にした側腹位で、なるべく腹壁に大腿をつけるようにする。上前腸骨棘の外下方で曲がり目に太い筋がある。この筋の後側にゴリゴリするところがある。ここを指で押さえると大腿の外側に響く処がある。これを環跳穴とする。 2)用鍼3寸の2番ないし5番の銀鍼、あるいは2番ないし3番の鉄鍼をもちいる。...
View Article「秘法一本鍼伝書」④にないが<下肢内側の病の鍼>の現代鍼灸からの検討
柳谷素霊著「秘法一本鍼伝書」には、下肢内側の病の鍼の記載がないが、現代鍼灸での方法を説明することにした。下肢前側・外側・後側の痛みの鍼に比べて、内容はシンプルである。...
View Article「秘法一本鍼伝書」⑤<上肢外側痛の鍼>の現代鍼灸からの検討 ver.1.1
最近の当ブログでは「秘法一本鍼伝書」中の下肢痛の鍼を4パターンに分け、現代鍼灸の立場から解説した。同じような形式で、上肢痛は2パターン分けて説明する。 1.「秘法一本鍼伝書」上肢外側痛の鍼(肩髃)...
View Article「秘法一本鍼伝書」⑥<上肢内側痛の鍼>の現代鍼灸からの検討
1.「秘法一本鍼伝書」上肢内側痛の鍼(肩貞)1)取穴法後腋窩紋頭の内上方約2寸を下からナデ上げると、内上方から外下方にむかって太い筋肉が指に触れることができる。この筋の下縁に指頭を突っ込むように強圧すると有感的に響く処がある。本穴はここに取る。いわゆる肩貞穴である。 2)用鍼寸6ないし2寸の3番の銀鍼または鉄鍼を用いる。...
View Article道教によって影響をうけた古代中国の生命観 Ver.1.4
1.序『黄帝内経』が編纂されたのは漢の時代(BC202~AD220)だとされている。当時、道教は儒教とならんで、中国人の精神構造の基盤となった。中国の古代医学も道教の影響を強く受けていたと考えられる。道教を学習することは中国の針灸古典の背景を知る上でも興味深いことである。 私は鍼灸学校卒業してすぐの頃、道教の古典的名著であるアンリ・マスペロ著川勝義雄訳『道教』東洋文庫、平凡社刊...
View Article『名家灸選』の腰痛の灸デモ(萩原芳夫先生)Ver.1.1
毎年春秋に開催されている現代鍼灸科学研究会は平成30年春、ゲストとして萩原芳夫先生をおよびした。萩原先生は、かつて日産玉川病院第2期鍼灸研修生で、研修後に地元埼玉県で灸専門治療院として長らくご活躍されていたが、ついに昨年閉院されるに至った。...
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