陳久性胸椎椎間関節症の針灸治療効果持続のための工夫
筆者は2016年6月.1日に「椎間関節症には針が一番」との表題でブログを発表した。その病態生理は、胸椎微小捻挫→脊髄神経後枝興奮→後枝支配筋(とくに長・回旋筋)の緊張→放散痛として微小捻挫部から斜下方への痛みというものであった。その針治療の機序は、後枝支配筋(とくに脊椎傍筋)の緊張部(棘突起から外方5分にある胸椎一行)に刺針することで筋緊張緩和させ、それが後枝痛を緩和させるという考察であった。...
View Articleモートン病による足指間の痛みに床のキズ防止パッドが有効だった例
1.病歴 自経例(66才、男性)。 1ヶ月ほど前から30分ほど歩いている途中から左第2~第4指のMTP関節(=足指指節関節)が痛むようになった。右足は痛むまない。足の横アーチが減少して痛む感じがした。買い物などの短距離歩行では異常なし。 治療として、土踏まず部に足底パッドを貼っても効果なく、中足骨前方にインソールを入れても効果がなかった。...
View Article心下痞硬・胸脇苦満の病態生理と針灸治療
1.腹証の現代医学的理解(代田文彦講義より) 腹証個々の定義と現代医学的解釈については、以下のブログですでに説明した。今回、天宗刺激に興味深い適応を見いだしたので報告する。 腹診に関する現代医学的理解 Ver.2.0 (2009.5.25) https://blog.goo.ne.jp/ango-shinkyu/e/8f8c34c0042642f61920ba28da6cc282...
View Article結帯動作制限と結髪動作制限に対する針灸技術
肩関節痛の治療でよく分からないのは、特定動作をとる際に生ずる肩~上腕痛である。その多くは肩甲上腕関節由来の問題ではなく、肩甲骨上方回旋・下方回旋に関係しているのだが、どこが痛むのか患者本人でもよくわからない。今回、五十肩ADL検査の代表である、結髪動作制限と結帯動作制限について、その主因と針灸治療技法について記す。なお本稿は、<奮起の会>肩関節痛で使ったテキストから部分的に引用した。...
View Article奇経八脈の宗穴の意味と身体流注区分の考察 Ver.1.9
1.十二正経の概念図 筆者は以前、十二正経走行概念の図を発表した。 http://blog.goo.ne.jp/ango-shinkyu/e/bac628918882edd51472352adefd6924/?img=0084a878810483f1998c462abef9281b...
View Article現代針灸における新しい考え方の整理
令和2年の正月に相応しく、最近の筆者の考えを整理してみたい。内容はこれまで本ブログで報告した内容も多いが、振り返って整理することも読者の理解の助けになるだろう。最近、西洋から新しい理論が流入された。それは結構なことなのだが、古い考えには愛着もあって、自分の針灸治療理論に組み入れることに、戸惑いも感じている。 1.現代針灸でいう局所治療とは...
View Article私の行っている眼窩内刺針の方法 Ver.1.2
1.はじめに以前私は、「 眼窩内刺針が刺激対象とするもの Ver.2.12015-08-19 」と題したブログを発表した。 https://blog.goo.ne.jp/ango-shinkyu/e/e15b8546ecd13a7f5c065a1709f3472c...
View Article側頭筋緊張に対すると運動針
1.側頭部痛をもたらす放散痛 側頭痛をもたらす筋膜症には、局所として①側頭筋膜痛の他に、②後頸~後頭筋膜や③胸鎖突筋膜など、3方向からの放散痛が関与する<吹きだまり>のようなところである。さらに側頭筋が緊張すると、顎関節部や上歯に放散痛を起こすことも知られている。 2.側頭筋の筋硬結の触診...
View Article鍼灸院でのベル麻痺の予後推定と治療点の選択
1.末梢性顔面麻痺と症状の関係 顔面神経(広義)は、運動神経性の顔面神経(狭義)と知覚・副交感性の中間神経に大別される。各神経枝の障害で、顔面麻痺以外にも、聴覚過敏・味覚障害・唾液分泌障害・涙分泌障害などの症状を呈する。...
View Articleモートン病による足指間の痛みに床のキズ防止パッドが有効だった例
1.病歴 自経例(66才、男性)。 1ヶ月ほど前から30分ほど歩いている途中から左第2~第4指のMTP関節(=足指指節関節)が痛むようになった。右足は痛むまない。足の横アーチが失われた感じがした。買い物などの短距離歩行では異常なし。 治療として、土踏まず部に足底パッドを貼っても効果なく、中足骨前方にインソールを入れても効果がなかった。...
View Article顔面痙攣と眼瞼痙攣の病態と針灸治療の適否
1.顔面痙攣 1)症状 一側の顔面が長期間、強く痙攣する状態。目の周り(特に下瞼)の軽いピクピクした痙攣で始まり、次第に同側の上瞼・頬・口の周りなどへ広がる。痙攣の程度が強くなると、顔がキューとつっぱり、引きつれる状態になる。ひどい場合、耳小骨のアブミ骨筋(顔面神経支配、鼓膜に張力を与えている)が過剰刺激され、カチカチという耳鳴が生ずることもある。...
View Article下歯痛の針灸治療 ver.1.1
1.針灸適応となる歯痛歯の激痛に対して、針灸で止痛させることは難しい。しかし関連痛による歯痛(放散性歯痛を含む)による歯痛は効果がある。歯肉痛にも効果がみられる。上歯痛・下歯痛それぞれ2回に分けて考えてみる。 ※関連痛を生ずる歯痛のなかで、とくに遠隔部位に生ずる痛みを放散性歯痛とよぶぶ。2.下歯痛の治療歯痛の鍼灸治療で、筆者が参考にしているのは、柳谷素霊著「秘...
View Article道教によって影響をうけた古代中国の生命観 Ver.1.5
1.序『黄帝内経』が編纂されたのは漢の時代(BC202~AD220)だとされている。当時、道教は儒教とならんで、中国人の精神構造の基盤となった。中国の古代医学も道教の影響を強く受けていたと考えられる。道教を学習することは中国の針灸古典の背景を知る上でも興味深いことである。 私は鍼灸学校卒業してすぐの頃、道教の古典的名著であるアンリ・マスペロ著川勝義雄訳『道教』東洋文庫、平凡社刊...
View Article顎関節症の針灸治療法 Ver.2.0
1.顎関節症の概要1)概念咀嚼咀や開口時の顎関節とその周囲の疼痛、開口障害と開口時雑音などを主体とする顎関節症状の総称。2)症状3大症状は、開かない・痛い・音がする ※ただし安静時の自発痛はない。3)顎関節症の分類(1996年、日本顎関節学会)Ⅰ型:咀嚼筋の障害Ⅱ型:関節包や靱帯障害Ⅲ型:関節円板の異常Ⅳ型:退行変性病変Ⅴ型:上記以外の病態。心身症含む。 実際には上記の合併型が多い。...
View Article三叉神経痛と針灸治療(仮性三叉神経痛を中心に)
針灸師の守備範囲は結構広く、四方にアンテナを広げているつもりでいても、いつの間にか各分野の新知識に遅れをとってしまいがちになる。今回もそのようなケースであった。ある日三叉神経痛の患者が来院した。これまで三叉神経痛は針灸不適応だと思っていたのだが、この患者に対しては、予想外なことに1~2回の施術で症状消失をみたのだった。嬉しいことである反面、どういうことなのか疑問に思って調べ直してみた。...
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