鍼灸科学派としての代田文誌 代田文誌の鍼灸姿勢 その3
1.若き日の頃 二十代後半~三十代後半の代田文誌は、沢田健の目覚ましい鍼灸治療効果を目前にし、鍼灸古典をしっかり学習する必要性を改めて自覚した。ただし盲目的に沢田健をカリスマとしてひれ伏すのではなく、同時期に、東大の解剖学教室へ通ったり、長野県の日赤病院の研究生となったりし、科学的な鍼灸とは何かを模索していたという事実がある。...
View Article鍼灸師の現状とAMT制度に対する私の意見
1.鍼灸専門学校が急増した結果、学生・学校とも苦しくなった 近年の鍼灸師制度のエポックは、鍼灸師が国家資格になったことだろう。これにより肩書き的に資格価値が向上したのだが、就職口や収入が増えた訳ではない。福岡の裁判以降、鍼灸も柔整も専門学校は倍増し、入学しやすくはなったが有資格者は倍増した。受診患者が増えたわけではなく、有資格者が増えた分だけ、一人当たりの年収は低くなった。...
View Article本郷の新星寮で出張治療していた代田文誌との出会いと治療体験の思い出(井上駿)ver.1.2
最近、当あんご針灸院に代田泰彦先生(代田文彦先生の弟者)の紹介患者として井上駿氏(87才男性)が来院した。井上氏は代田文誌が新星学寮で出張治療していた頃、東大農学部の学生で新星学寮の寮生であたことを耳にしたので、当時の様子を文章にして残して欲しいとお願いしてみた。井上氏は快諾し、その2ヶ月後、次のような文章を書いて下さった。以下は井上氏の文章(部分的に似田加筆)になる。...
View Article痛風発作に灸治療が速効した例としなかった例 ver.1.2
筆者は、2016年11月22日に「急性膝関節痛が痛風由来だった症例」を報告したが、この症例では膝痛が痛風からきていると推測できず、また鍼灸治療も効果なかった。しかし2018年3月28日に左肘の痛風発作が灸治療で即時に鎮痛できた症例を経験したので、この事例を追加して報告する。 1.痛風の概念...
View Article手根管症候群の針灸治療 ver.2.0
1.手根管症候群の概要 手根管とは、手根骨と屈筋支帯(旧称は横手根靱帯)の間隙をいう。ここを縦走する正中神経が圧迫刺激され、圧迫部から末梢の正中神経麻痺が生じた状態。透析患者、閉経前後と妊娠・出産を機に多発する。...
View Article眼瞼痙攣の病態と針灸治療の適否 ver.1.2
1.顔面痙攣 1)症状 一側の顔面が長期間、強く痙攣する状態。目の周り(特に下瞼)の軽いピクピクした痙攣で始まり、次第に同側の上瞼・頬・口の周りなどへ広がる。痙攣の程度が強くなると、顔がキューとつっぱり、引きつれる状態になる。ひどい場合、耳小骨のアブミ骨筋(顔面神経支配、鼓膜に張力を与えている)が過剰刺激され、カチカチという耳鳴が生ずることもある。...
View Article惑星と曜日の関係
私は昔から曜日の名前が、なぜ月火水木金土になるのか疑問に思っていたが、余りにも素朴な疑問であり、昔から決まっていることだったので、疑問に思っていることさえ忘れていた。今回ネットサーフィンしていたら、偶然にもこれに答える内容が発見できた。五行説とも関係しくるので、この場を借りて説明する。 1.古代中国の五行説と惑星...
View Article末梢神経性「シビレ」の診かたと鍼灸治療
1.シビレのもつ三つの意味 患者の上肢や下肢がシビレルという訴えはしばしば耳にする。そうなると、そのシビレに関して、そのシビレは動きが悪い(運動麻痺)のか、感覚が鈍い(知覚鈍麻)のか、そともジンジン、ビリビリする(異常知覚)のかを分別しなくてはならない。 2.シビレの病態生理学1)末梢神経の種類と機能のマトメ...
View Articleひょうその灸の速効自験例
1.瘭疽(ひょうそ)とは手足の爪周囲におこる急性の細菌性爪囲炎(bacterial paronychia)。爪傍と指腹が発赤腫脹し、激痛を起こす。指腹部の脂肪組織は、物をつまむときの安定性を高めるために線維性の隔壁で仕切られており、そこに感染が起きると内圧の上昇によって、端知覚神経が圧迫され痛みを発する。とくに化膿するとより内圧の上昇が起こるので痛みは非常に強くなる。...
View Article車酔い予防に足母指爪中央の灸
前回報告の<ひょうその灸>で、爪の上に施灸した。爪上に灸をするという治療は、玉川病院症例報告回で昭和57年に乗物酔いに母指爪中央の灸が効いたという報告をしている。ここに転記する。 タイトル:車酔い予防に足母指爪中央の灸...
View Article内容紹介と註釈
代田文彦先生の死去後、遺品整理の際、夫人が私に本や雑誌記事を下さった。その中には、<澤田先生講演>とする澤田健の講演記録のコピーがあった。澤田健については代田文誌氏の著書から、ある程度知ることができるものの、本人がじかに記したものは「三焦論」以外、残っていない。...
View Articleコメカミ部痛に対する内侠谿の効果
私が20代後半だった頃に病院で治療していた鍼灸治療報告ファイルが手元にある。今読み返すと興味深く、当時の私は奇経治療に凝っていたこと。頭の症状を足でとるという遠道刺にも興味があったこともわかる。とくに内侠谿(私自身が命名。足背第3中足骨と第4中足骨間の基部)刺針に抜群な効果を感じとっていた。 1.緊張性頭痛に内侠谿置針が効果あった症例 症例1 34歳・男性...
View Article尿路結石の疝痛は、側臥位での外志室深刺が効果的なようだ
病院鍼灸限定の話になるが、尿路結石の疝痛に対する鍼灸は非常に効果がある。そのことについて説明する。 1.尿路結石の概要尿路とは腎杯、腎盂、尿管、膀胱、尿道に至るまでをさす。尿路結石は腎臓の腎盂で尿の成分の一部が結石を作り、尿路の中に存在している状態で...
View Article治療中の笑話 Ver.1.7
長らく治療に携わっていると、ときには面白い話にぶつかる。思いつくままに紹介する。 1.50才台男患者:「昔、40才頃の頃、20代の愛人がいましたよ」私「それは、うらやましいことで‥‥」患者:「愛人だけど、愛はなかったけどね。」 「恋人には愛があり、愛人には愛がないか」...
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