現代鍼灸でのツボの効かせかた②下肢部編 ver.1.1
前回、<現代鍼灸でのツボの効かせかた①上肢編>を記した。今回は第2弾として②下肢編を書き現してみた。 1.陽陵泉と懸鐘 1)解剖と取穴 ①陽陵泉は、腓骨頭の前下方直下で長腓骨筋上を取穴。②懸鐘は、腓骨頭と外果を線で結び、外果から1/5の短腓骨筋中にとる。...
View Article現代鍼灸でのツボの効かせかた③頸部編 ver.1.1
1.天柱と上天柱 1)解剖と取穴 天柱:C1後結節-C2棘突起間の外方1.3寸。直刺では僧帽筋→頭半棘筋に入る。上天柱:後頭骨-C1後結節突起間の外方1.3寸。直刺では僧帽筋→頭半棘筋→大後頭直筋に入る。※後頸部の僧帽筋は薄いので、頸部運動にはあまり関与せず、臨床上は無視できる。僧帽筋の主作用は肩甲骨を動かすことにある。僧帽筋は肩甲骨を引き上げるためにある。...
View Article現代鍼灸でのツボの効かせかた④顔面部編
1.翳風と難聴穴 1)解剖と取穴①翳風:耳垂後方で、乳様突起と下顎骨の間に翳風をとる。顔面神経幹が茎乳突孔を出る部。谷底の骨にぶつかるように刺入する。顔面神経幹部に正しく刺入できれば無痛で針響もない。ただし本刺針は難易度が高く、刺入方向を間違えると強い刺痛を与える。...
View Article現代鍼灸でのツボの効かせかた⑤腹部編 ver.1.1
腹部のツボというと心下痞硬に対する中脘や巨闕、あるいは胸脇苦満に対する右期門などが代表的なところである。このようなツボを使って日常的に施術しているわけだが、実は「よく効いた」とする手応えがない。自信をもって治療に使っているという腹部のツボは以下のようであるが、意外と少ない。 1.帯脈、淵腋、大包 1)解剖と取穴...
View Article常習性便秘に関する鍼灸治療点の検討 ver.2.0
1.下行結腸に対する腰部からの刺針 内臓体壁反射の理論では、大腸は上行結腸~下行結腸までは交感神経が主導権を握り、その反応は背部に現れる。さらに大腸は、上行結腸と下行結腸が後腹膜臓器で、とくに下行結腸を刺激する目的として、左大腸兪・左腰宜(ようぎ=別称、便通穴)などを刺激することが多い。下行結腸は、腰方形筋の深部にあるので直刺で深刺すると命中できる。この部は皮下脂肪や筋...
View Article現代鍼灸でのツボの効かせかた⑥頭部編
1.百会と囟会 1)解剖と位置百会:前髪際を入ること5寸、頭頂部のやや後方。正中線上。頭頂孔がある。囟会:前髪際を入ること2寸。正中線上。大泉門部。 2)臨床のヒント...
View Article後頸深部筋の解剖と鍼灸治療 ver.2.0
1.後頭下筋を除く後頸部筋の筋構造 背部にある筋のうち、脊髄神経後枝に支配される筋群を固有背筋とよぶ。したがって脳神経に支配される僧帽筋や、腕神経叢に支配される広背筋、肋間神経に支配される上・下後鋸筋は脊髄神経前枝の支配のため、固有背筋に含めない。後頸部の筋について個別にまとめるが、後頭下筋群については、すでに本ブログでも書いているので省略する。 <ブログ:本稿での後頸部の経穴位置と刺激目標>...
View Articleアキレス腱炎付着部炎に下腿三頭筋の運動針が有効だった症例(73歳女性、主婦)
1.主訴:右アキレス腱部痛2.現病歴:1ヶ月前より、歩行時に右アキレス腱部が痛みを感じるようになった。思い当たる理由はない。3.所見:アキレス腱の踵骨停止部に圧痛、あり。発赤、腫脹なし。 4.診断:アキレス腱付着部炎 R/O (除外すべき疾患)アキレス腱炎:本症であればアキレス腱踵骨停止部の、上方2~6cm部分のアキレス腱の腫脹・圧痛を生ずる。R/O...
View Article凍結肩の運動療法の整理
拘縮期の五十肩に対しては、鍼灸治療であっても、あまり効果的な方法がない。肩関節癒着には無効なのであって、治療の中心は運動療法主体になる。なお運動療法に温熱療法を併用することの効果は広く認められているが、電気をかけたり磁石を貼ったりするのはエビデンスに乏しい。 1.古典的な運動療法 2.関節モビリゼーション...
View Article肩関節ADL制限の鍼灸治療 その1 肩関節外転制限
1.序私はこれまで計411題のブログを発表したが、この中でコンスタントに最も閲覧数が多かったのは、「結帯動作制限と結髪動作制限に対する鍼灸技術」(2020.10/23)だった。いかに多くの鍼灸師が肩関節疾患の治療で困っているかの現れであろう。...
View Article肩関節ADL制限の鍼灸治療 その3 結髪動作制限
1.結髪動作あるいは上腕外転の制限因子と治療方法 結髪動作とは、頭髪を後頭部で結ぶ動作のことで、肩関節の屈曲+外転+外旋の複合運動になる。それに加えて肩甲骨の上方回旋の合成動作。肩甲骨の上方回旋運動制限(僧帽筋上部繊維や前鋸筋の筋収縮力)および肩甲骨と上腕骨を結 ぶ筋の過収縮(肩甲下筋や大円筋の伸張不足)が問題となる。2.肩甲下筋・大円筋刺激1)大円筋刺激...
View Article橈骨神経高位麻痺による下垂手の針灸治療 Ver.3.0
今から5年ほど前に筆者は「橈骨神経麻痺には消濼の強刺激刺針」と題したブログを書いたが、今読み返せば、不備な内容になっていることを発見した。ここに全面的に書き換えることにする。 1.橈骨神経の走行の要点...
View Article橈骨神経低位麻痺による下垂指の鍼灸治験
1.橈骨神経の高位麻痺と低位麻痺 肘より上部である手五里付近の神経絞扼障害では橈骨神経高位麻痺になり下垂手となる。橈骨神経は肘を過ぎたあたりで浅枝(知覚枝)と深枝(運動枝)に分かれるが、深枝走行で手三里あたりの神経絞絞扼障害では下垂指となる。 2.橈骨神経低位麻痺(=後骨間神経麻痺)...
View Article「条口から承山への透刺」その適応 Ver.1.1
1.五十肩に対する条口から承山への透刺の方法 かなり以前から、中国では五十肩に対して健側の条口から承山に透刺(2穴を貫く)する方法が発見された。略して条山穴ともよぶ。実際に2穴を貫くには6寸針が必要である。...
View Article<下肢内側痛の鍼>の現代鍼灸からの検討 ver.2.1
柳谷素霊著「秘法一本鍼伝書」には、下肢内側の病の鍼の記載がないが、現代鍼灸での方法を説明することにした。 1.大腿内側痛の概要 1)大腿内転筋の解剖大腿内側には次の5つの大腿内転筋群がある。すなわち恥骨筋・長内転筋・短内転筋・大内転筋・薄筋であり、いずれも閉鎖神経支配である。なお閉鎖神経とは、腰神経叢から起こり、骨盤の閉鎖孔を貫通して大腿内側の皮膚と大内転筋の運動を支配している。...
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