代田文誌の鍼灸姿勢 その2:沢田流太極療法 Ver.1.3
代田文誌が沢田健の治療院を見学したのは、昭和2年のことで、沢田健50才、文誌27才の時だった。代田は神業的な治効を出すその姿をみて驚嘆し、鍼灸古道を学んでいく決意を新たにした。その沢田流太極治療とは、どのような内容だろうか。筆者の手元には、通い弟子あった代田文誌著「沢田流聞書...
View Articleテニス肘に対する筋と筋付着部への運動針 Ver.2.0
1.テニス肘の病態と症状 テニスのバックハンドでボールを打つということは、飛んでくるボールをラケット面で捉え、さらに打ち返すという動作である。これは手首の強制背屈状態に対応するため、前腕伸筋群は、瞬間的にコンセントリック収縮状態になり、しかも次の瞬間にはエキセントリック収縮に移行している状態である。...
View Article脂肪褥炎のテーピング治療 Ver.1.1
1.踵中央(湧泉)の痛みを訴える者 踵中央部に鈍痛を感じ、押圧すると強い圧痛がある患者を何人か診た。私自身もこの10年に2~3回そうした経験がある。この症状を成書を調べても記載がなく、不明のままでいたが、朝日新聞朝刊(H18.6.12)に踵が痛む病気として、足底筋膜炎の他に踵脂肪褥炎(しょうしぼうじょくえん)が載っていた。2.脂肪褥炎とは...
View Article足底筋膜炎の針灸治療 Ver.1.1
1.病態 足底の筋は、表在性の足底筋膜に覆われている。足底筋膜は踵骨隆起から起こり、足の指に至って、足底の縦のアーチ維持に貢献している。過度の足底筋膜に加わる張力の反復により、足底筋膜に付着部の牽引ストレスが作用する。また足底筋膜の微小断裂を起こす。...
View Article仙結節靱帯刺針の効果
平成26年5月10日報告の<坐骨滑液包炎の針灸治験>ブログで、坐骨結節滑液包炎の鍼灸治療について説明した。今回は仙結節靱帯痛と思える症例を経験し、よい成果を収めることができたので報告する。 1.仙結節靱帯痛の概要と鍼灸治療方法...
View Article代表的な薬物灸について ~灸基礎実技講師のために Ver.1.2
はじめに東洋療法学校協会編の「鍼灸実技」教科書には、薬物灸の説明が載っている。現在のわが国において、薬物灸を実際に行っている処は非常に少ないのだが、灸基礎実技の担当講師は、不案内なのにも関わらず、立場上薬物灸について一通り説明する必要にせまられる。 薬物灸について簡明に、かつ興味深く、教えるにはどういう内容にいたらよいのだろうか。私が過去に教えた内容を記すことで諸先生方の参考に供したい。...
View Article肩関節の結髪動作制限に対する針灸治療 Ver.1.2
2015年1月15日付けで、私は「肩関節の結帯動作制限に対する針灸治療」というブログを発表した。その姉妹編ということで、今回は上記タイトルについて見解を記す。...
View Article膝窩筋腱炎の針灸治療
序 筆者はかって、<膝窩痛に対する委中刺針の体位 Ver. 1.4>2014.7.28 を発表したが、その後に内容がかなり充実してきた。ともに、このタイトルが内容にふさわしくないものとなったので、内容を大幅に追加するとともにタイトルを変更することにした。 1.膝窩筋とは...
View Article足のツレの治療 Ver. 2.1
1.こむら返りとは 睡眠中に、突然足がつれ、痛みで目覚めるという訴えを、よく耳にするようになった。通称こむら(返りともよばれる。 「こむら(=腫)」返りとはふくらはぎが、つ(=攣)ること。腓腹筋の有痛性痙攣である。筋肉内に分布する運動神経終末部の自発性興奮に始まる。筋線維の一部が強く収縮すると、収縮した筋線維と収縮しない筋線維の間にずれの力が働き、筋肉の痛覚線維を刺激して、痙攣と痛みが生じる。...
View Article筋膜(ファッシア)の問題点の整理
最近、筋膜の理解が大きく進歩し、これまで経験的におこなってきた治療も理論づけができるようになってきて喜ばしいことである。しかし新しい考え方であるため、知らない者もおり、知ってはいっても断片的理解に留まる者もいる。自分の勉強かたがた、整理をしてみたい。...
View Article平成28年を迎えての沢田健先生墓参
平成28年1月3日、念願だった沢田健先生の墓参をした。沢田先生は、代田文誌先生の師匠であった。新大塚駅(池袋から地下鉄丸ノ内線で1つ目の駅)で仲間と待ち合わた。お花は現地で買うのがよかろうと思って、事前に花屋の場所を調べていたが、お正月ということだろう、どこも閉まっていて大いに焦ったが、道すがら1件のスーパーを発見、そこでどうにか一束発見できた。本来は二束必要だがやむを得ない。...
View Articleイボ、ウオノメ、タコに焦灼灸、水イボにせんねん灸
焦灼灸の治療的意義は、灸熱刺激で、患部の温度を90℃くらいに高め、急速にタンパク変性を起こさせ、組織を炭化させることにある。炭化とは、タンパク質の最終加熱状態で、熱傷による痂皮(=かさぶた。死滅組織が組織から剥がれかかっている状態)のことだと説明される。...
View Article代田文誌先生の頌徳歌碑(飯田市龍門寺) Ver.1.2
少し前のこと、代田文誌先生が活躍していた場所に行って見たいという考えが生まれた。そのことを代田泰彦先生に相談してみると、長野市の東京医学研究所(代田36才~)の跡地はまったく面影がないが、飯田市の寺には石碑があるとの話だった。飯田は、文誌先生が幼少期から35才まで住居を構えた土地である。...
View Article針灸の効果を高める運動学的方法
鍼治療の効果を高めるには、針の手技だけでなく、患者の体位・筋に力を入れるか否か・息を止めるか否かなどを考慮するとよいことが知られている。これらは導引という概念といえるらしいが、現代では導引に代わり、神経生理学的機構に働きかけることで治療効果を高めようとする考えが生まれている。 1.Ⅰa抑制...
View Article大久保適斎著『「鍼治新書』<手術篇>の要点(上)
本書は明治25年発刊。明治44年5月25日第2版発行。昭和50年9月30日医道の日本社より復刻再版。 著者の大久保適斎は明治時代の西洋外科医で、群馬県医学校の初代校長、兼病院長の重責に任じられた。自らのノイローゼが鍼灸により軽快した体験から鍼灸に興味をもった。しかし良き指導者にめぐまれなかったため、現代解剖生理学に基盤をおく「自律神経手術」という針治法を独自に開発した。...
View Article