膝窩筋腱炎の針灸治療 ver.1.5
序 筆者はかって、<膝窩痛に対する委中刺針の体位 Ver. 1.4>2014.7.28 を発表したが、その後に内容がかなり充実してきた。ともに、このタイトルが内容にふさわしくないものとなったので、内容を大幅に追加するとともにタイトルを変更することにした。 1.膝窩筋とは...
View Article母指CM関節症と母指内転筋症の針灸治療
元のブログタイトルは、「母指CM関節症には母指内転筋停止部の刺針」だったが、筆者は母指CM関節症と母指内転筋症を混同していたので、上記タイトルに変更するとともに、本文を大きく変更した。 1.母指CM関節症 1)局所解剖母指は、末梢側からIP→MP→CMの3関節からなる。CM関節とは、carpo-metacarpal joint...
View Article膝OAでの関節包刺針
変形性膝関節症(膝OA)は、従来から針灸の適応症とされている。事実、整形での理学療法や神経ブロック療法と比べてもよく効くと思う。ただし高度な膝OAでは、針灸治療でもあまり症状軽減しない。やはり80歳以上になると多くなる重度の膝変形では、針灸による軟部組織を刺激対象とする方法では対処できない。針灸守備範囲外となる。そうなると整形外科での骨切り術や膝人工関節への手術が適応になるケースが出てくる。...
View Article肩関節ADL制限の鍼灸治療 その1 肩関節外転制限 ver.1.2
1.序私はこれまで計411題のブログを発表したが、この中でコンスタントに最も閲覧数が多かったのは、「結帯動作制限と結髪動作制限に対する鍼灸技術」(2020.10/23)だった。いかに多くの鍼灸師が肩関節疾患の治療で困っているかの現れであろう。...
View Article江島杉山神社と弥勒寺参拝
新年の令和4年1月2日、江島杉山神社と弥勒寺の見学に出かけた。新コロナ禍の中なので、今回は一人で出かけた。両国駅から徒歩10分ほどで隅田川が見た。水上バスが未来的な形をしている。それを過ぎるとマンション風の鉄筋建造物が目に入った。出入り口が妙な形をしているので、何かと思って近づくと「春日野部屋」と書かれていた。このあたりは両国国技館も近く相撲部屋が多いのだろう。 隅田川と水上バス...
View Article五十肩の鍼灸治療を苦手とする理由
五十肩の鍼灸治療は難しく、いくらがんばって鍼灸しても効果が現れない。患者本人がいやになって来院中断すると、鍼灸師は逆にホッとする。これは鍼灸師あるあるだろう。五十肩の鍼灸治療はなぜ難しいのかを解説する。 1.凍結肩への進行凍結肩は、肩の炎症の終着点である。一般的には、次の①②③④の順番に進行する。必ず最後まで進行するのではなく、途中で自然治癒することもある。...
View Article腰痛に対し、”二の矢”として行う立位体前屈位で行う背腰部一行刺針
腰痛には筋膜由来のものと椎間関節由来のものがある。鍼灸治療では、背部一行(棘突起の外方5分)からの深刺で、腰が伸びたり動作時痛が軽くなったりするのが普通である。しかし不十分な効果しか得られないことあるので、次の手段(=二の矢)を用意しておくべきである。 1.一の矢...
View Article膏肓穴について
1.位置と局所解剖1)取穴正座位で両肘をつけ、両手掌の上に顎をのせる。(開甲法)。伏臥位では上肢を挙げ、額の前で手を合わせる。要するに肩甲骨を大きく開かせる姿勢。この体位にさせ、第4棘突起下外方3寸にとる。厥陰兪の外方1寸5分になる。 2)局所解剖...
View Article副鼻腔炎に歯周炎が合併した患者に対する鍼灸治療 (73歳、男性)
1.副鼻腔炎症例の鍼灸治療 3年前副鼻腔炎となった。耳鼻科で治療を受けると改善するが止めると元に戻ることを繰り返していた。左挟鼻穴を中心とした数カ所に置鍼5分間+糸状灸3壮、自宅でせんねん灸実施。この治療を開始すること数回で鼻の通りは改善し、治療5回目頃から左四白周囲の隆起も減少した。なお副鼻腔炎でよく用いられる攅竹や上星・顖会穴に圧痛反応はなかった。...
View Articleさまざまな適応がある中殿筋治療
殿部痛を訴える者はもちろんのこと、殿部に症状のない者であっても、触診すると中殿筋の緊張がある患者は少なくない。この原因についてはいくつか理由がある。1は上殿痛(上殿皮神経痛)に対してTh12一行刺針が効いた例、2は上殿痛に対して立位で患側に体重をかけた体位で中殿筋への鍼が効いた例、3は中殿筋部痛で立てない症状に、中殿筋を固定ゴムベルトを装着して歩行可能となった例である。 1.メイン...
View Articleグロインペインと針灸治療
グロインペイン症候群 grion pain syndrome とは鼠径部痛症候群の英語名で、 grionとは「股間」のこと。アスリートの鼠径部周囲に出現する慢性障害とされるが、真の原因を特定しにくい。キック動作 やランニングやなどの繰り返しの運動によって、鼠径部、股関節周辺、骨盤に機械的ストレスが 加わって痛みとなる。1~2ヶ月の安静で改善することが多いが、緊張が高い鼠径部の筋への押...
View Article膝窩筋腱炎の針灸治療 ver.1.6
序 筆者はかって、<膝窩痛に対する委中刺針の体位 Ver. 1.4>2014.7.28 を発表したが、その後に内容がかなり充実してきた。ともに、このタイトルが内容にふさわしくないものとなったので、内容を大幅に追加するとともにタイトルを変更することにした。 1.膝窩筋とは...
View Article膝痛に際してのⅠa抑制とⅠb抑制から考えた針灸治療 ver.1.1
膝関節痛を訴える患者の多くは、大腿四頭筋が過緊張している。いわゆる大腿四頭筋強化運動を行わせても効果が今ひとつなのは、四頭筋力低下ではなく過緊張(=過収縮)によるものだろうと考えている。この四頭筋の緊張緩和には、運動学的方法であるⅠb抑制とⅠa抑制を利用した方法がある。 1.Ⅰb抑制理論による鶴頂刺針...
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